現代の地政学リスクの根本原因~ゼノフォビアという人間の本質

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投資家の不安心理の根底にある地政学リスク

10月10日から続く株安は2週間以上続き、週明けの29日も続いています。

こうした世界的な連鎖株安は地政学リスクなしには語ることができません。

例えば、米中新冷戦、ノーディール(合意なく)ブレグジット、イランやトルコ、サウジアラビアにおける中東不安が世界経済に影を落としています。

米国はこれまで世界の警察という立ち位置で各国間の紛争に介入してきましたが、今回その米国自身が新たな紛争を作り出そうとしています。

こうした変化は突発的なものとして捉えられがちです。

しかし、例えば、トランプ大統領の台頭やそれまでの宥和を続けてきた中国による周辺国への侵略政策への転換、突如EU離脱を表明したイギリスなど、世界経済が突然激変したように見えるそれぞれのイベントも、実は世界のパワーバランスを地政学的変化という観点でみると緩やかな変化と捉えることができます。

また変化の理由を知ることができれば、未来もある程度予測することができ、投資家として戦略の構築につなげることもできます。

管理人は、これからも世界経済は自国優先の保護主義・貿易摩擦が起き続けるため、上記のような個別案件がどんなに落ち着こうが、根底にある地政学的なリスクとは常に向き合わなければならないと考えています。

地政学リスクとはすなわち自己愛から来る隣人との揉め事

世界経済の地政学リスクを俯瞰してみようとするとハルフォード・マッキンダーが提唱したハートランド理論、またその理論を応用したニコラス・スパイクマンによるリムランド理論という二つの理論を知っておくと便利です。

すなわち、20世紀以前の海洋貿易(シーパワー)中心の世界では海上航路を握る国が世界の覇権を握っていたのに対し、産業の発達によって開発された大陸内部であるランドパワーを奪い合う構図へと変化し、現在の紛争はランドパワーとシーパワー間、およびその内部のパワーバランスのぶつかり合いと捉えることができます。

第二次世界大戦は当時巨大なランドパワーであったソビエトに危機感を覚えたドイツがソビエトとの間にあるポーランドを攻めたことがきっかけでした。

またその後の冷戦はランドパワーであるソビエトとシーパワーであるアメリカを中心とした西側諸国の戦いでした。

またランドパワーとシーパワーの間の地域のことをリムランドと呼びますが、現代で東アジアや中東で紛争が頻発するのはユーラシア大陸と太平洋という二つの大きなパワーバランスがぶつかる重要なリムランドであるためです。

そしてシーパワーとして最も強大なアメリカとランドパワーでソビエトを抜いた中国が衝突するのは当然の流れだったわけです。

リムランドの中国と最も近い西側諸国の最接近点である日本のような重要拠点のことをチョークポイントと呼びますが、沖縄にアメリカ軍の拠点があるのはそういった背景があるためです。

今後も貿易、領土拡張、安全保障など様々な争いが起きる地政学リスクが起きる可能性がありますが、こうした事実を知っておけばある程度の予測を立てることができます。

ランドパワーがソビエト(ロシア)から中国に移ったように、各パワーの中心は変化することはありますが、基本的にはこうした地理的な位置関係による衝突は無くなりません。

各国の主戦場がサイバー空間に移ったとしても、こうした隣国との戦いがなくなると考えるのは早計です。

その理由は人間の本質として安定と同質性を求める特性があるからです。

これは自分と異なる考え方を排除しようとするゼノフォビアと言い換えることもできます。

つまり、人間誰しも今の状態が好きで、今が最適な状態であろうがなかろうが、現状の状態が続くように願うバイアスが働きます。

自分が変化するにはエネルギーが必要となりますし、今日と異なる明日には恐怖が伴います。

それは人間が様々な生存競争に勝ち抜いてきた長い歴史の中で培い、遺伝子に刷り込まれた本能的な部分があるのかもしれません。

いずれにしもてそうした特性が国という集合になるとさらに強くなり、自国のポリシーやパラダイムを守ろうとする強い力が働きます。

翻って、日本でいうと、労働力の減少、産業の衰退、国家財政の悪化が続いているにも関わらず、根本原因である人口問題に手をつけず、依然として現状の維持を守ろうとしています。

例えば、本日1029日衆院本会議で安倍首相は、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管難民法改正案に関し「政府としては、いわゆる移民政策をとることは考えていない」と述べました。

https://www.sankei.com/politics/news/181029/plt1810290015-n1.html

日本の人口減少に直面している中で労働力が不足しているにも関わらず、外部からの労働力を調達するのは本来すべきにも関わらずです。

現状維持バイアスが強すぎるが故の移民排斥志向もまた、地政学リスクの根底にあるゼノフォビアということができます。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。