日本企業の株価が戻らない理由

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令和初というキーワードが段々目につかなくなってきましたが、最近のマーケットでは令和最高値と言われるほど上昇しています。

もう少し長い目でマーケットを俯瞰すると昨年の今頃は世界の株式市場が絶好調で、史上最高値を更新していましたが、その後は年末にかけての急落、いわゆるクリスマスショックが起きます。

これを皮切りにリセッションに対する警戒感が意識され始め、世界中の中央銀行はそれまでの金融引き締めから緩和政策に舵を切るわけですが、その後の各国マーケットで戻り方は様々です。

最も顕著なのはアメリカの株価で、セミリセッションという言葉も聞かれるように雇用市場などの重要指標が好調で昨年の急落から一年かけて大きく戻してさらに史上最高値を更新しています。

一方で日本の株式市場はアメリカに追随して下落したにも関わらず、毎度のことながら戻りは鈍く、下落後の株価に対しては半値戻しの水準にとどまっています。

こうした事例を見るにつけ、マーケットでは改めて日本株の割安感を指摘する声もありますが、実際には人口の減少や少子高齢化などに加えて、日本企業の非効率さが存在することについてはあまり語られることがないように思います。

日本企業の非効率さの理由には

1.適切な金融教育が行われていないため数字に対するリテラシーや定量的かつ戦略的意思決定を行う能力が低い

2.1の帰結として定量的なエビデンスを基にした戦略判断やマーケティングが弱い

3.責任範囲が明確ではなく、責任に見合う評価制度が不足している

ことが挙げられます。

これらの現象は、海外に比べて日本でのイノベーションが起きにくい理由としても語られるように、日本の小規模なスタートアップから大規模の企業に一貫して組織のトップがリーダーシップを発揮できていないことが原因です。

最近は現場に意思決定を任せる、いわゆるティール型組織と呼ばれるマネジメント手法が流行っています。

これはアメリカを発祥とした現場のマネジメント手法で、経営陣と従業員に一定のリテラシーがある前提の上、OJTとセットで行われれば現場で長期視点での意思決定が行われるため、リーダーへの求心力を維持したまま、現場の納得感の高い状態で機動力のある業務運営を行うことができます。

このようにティール型組織マネジメントが成功するのは一定の条件が必要で、組織の構成員の判断力やリテラシーが求められることに加え、現場が判断を誤らないように、経営者としては判断を委ねているようで実はリーダーが決めた方向に進める(ための対話をする)という理想的な状態を作り出す必要があります。

こうした状態が作り出せないでいると、仮に納得感の得られるマネジメントが成功してもそれが業績にプラスに働くとは限りません。

ティール型組織でやりがちなのは、現場の納得感を得ようとするあまり責任が明確でないまま権限移譲をした結果、部署ごとの局所最適化が進み、全体としての最適化が遅れます。

一例として、情報管理部門のセキュリティ対策やカスタマーサポートなどのコストセンターが安全性や管理コスト抑制を重視するあまり、全体として新規事業に挑戦することに慎重になりすぎたり足枷となり、仮説検証のためのトライアルやPDCAを回すスピードが遅くなってしまうことが挙げられます。

こうした根底にあるのは定量的な分析能力が低い日本企業の判断力の欠如にあります。

よく言われる日本企業の非効率性については、適切な議論に時間がかかっているのであれば良いですが、実態は数字に対するリテラシーが低いため、定量的な意思決定ができず、中長期的なビジョンが描けていないため、やたらと長いパワポでそれらしい内容の資料を元にふんわりした方向性だけが決まり、結果として長い時間だけかけても正しい戦略を遂行できないことが挙げられます。

また日本人は同調圧力が強いため、経営者は能力が高い者よりも自分に賛同してくれる人を周りに配置する傾向にあることも業績低下の要因になります。

日本人としては残念なことですが、日本企業のこうした非効率さはバブル崩壊後の日本経済の凋落を見ていれば明らかで、経済合理的最適解を得る考え方、正しい問題発見のアプローチができないため、ファンダメンタルが低い要因となってしまっています。

エネルギーや食料自給率が低く諸外国に依存しなければならない資源の乏しい国で、人口が減少していき、更に経済効率も低いとなると投資先としての魅力は相対的に低くなります。

管理人が日本企業ではなく、米国株に投資している背景にはこうした考え方に基づいていますが、株式投資ではパフォーマンスが良くても母国の経済が弱体化していくのを見るのは複雑な気持ちです。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:金融機関で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。

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