アナリストが必ず実践する企業評価における分析手法

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アナリストによる企業評価の重要性

アナリストをしていると財務諸表やマーケット動向から企業価値を算定しているだけと捉えられがちですが、実際には、企業の目標に対して適切な戦略や戦術が取られているか、企業独自の構造や外部環境との関係性はどうかなど、様々な観点で企業を評価しています。

ここではどのような観点で企業評価を行なっているのかについて、一つの評価尺度をご紹介したいと思います。

今回ご紹介する方法は、アナリストによる企業価値算定のためだけではなく、マーケティング部門や経営管理部門など様々な部署でも活用することができますので、多くの方にとって知って得する技法だと思います。

企業評価において重要なswot分析とは

企業の目標に対して適切な戦略や戦術とは何かを考える前に、こうした戦略や戦術はどのように決定されるのでしょうか。

ここで使われているのがSWOT分析と呼ばれるものです。

このSWOT分析は組織や個人にも当てはめることができ、プロジェクト単位や規模によらない企業でも有効に使うことができます。

主にアナリスト業務では、企業評価を実施する際に、その企業の内部環境と外部環境の様々な事象をリストアップします。

そして内部環境で目標に対してメリットを強み、デメリットを弱みとし、外部環境のメリットを機会、デメリットを脅威と位置づけます。

例えば、ある小売業界の企業に対してSWOT分析を行ったケースを考えてみます。

強み

SPAと呼ばれる商品開発から在庫管理まで一貫することで高い事業運営能力を有する

無借金経営で財務基盤が強固である

プロモーション戦略に長けている

海外売上高が高い

弱み

国内事業が不振

業績が天候や流行の影響を受ける

事業運営上、トップの影響力に強く依存している

機会

海外市場に強い

脅威

国内消費は依然として低迷している

外資系ファストファッションの国内進出に対抗

※特定の企業を想定したものです。当ててみてください。

ヒントはトップが強く、海外売上高、SPA、強烈なトップの影響力、です。

こうしたファクターは挙げたらきりがありません。

そこで使われるのが先人の知恵、すなわちフレームワークです。

例えば、外部環境分析をするフレームワークとして、PEST分析、5つの競争要因(ファイブ・フォース)分析、PLC(製品ライフサイクル)、イノベータ理論、バリューチェーン分析、VRIO、7つのSなどがあります。

外部環境もミクロとマクロに分けて分析をするのが通常です。例えば、マクロ環境では、法律の変更や規制緩和・強化実施、景気変動などの「変化」に着目しますし、ミクロ環境では、顧客のニーズの変化や、業界内のステークホルダー(部品供給などの利害関係者)の変化やそれに対する競合の対応に着目します。
内部環境分析のフレームワークとしては、コア・コンピタンス、DCF法による企業価値評価 などが有名です。

しかし、こうしたSWOT分析はファクターの分類をするだけでは十分な効力を発揮しません。

次のクロスSWOT分析を実施することで有力な戦略を立案して初めて効果があるのです。

クロスSWOT分析

こうして、目標に対して有効なものなのか、不利なものなのかをファクターを振り分け、それぞれを強み、弱み、機会、脅威の4つに分類したところで、以下の表のようにそれぞれのファクターの掛け合わせを考えます(クロスSWOT分析)。

外部環境

機会(Opportunity)

脅威(Threaten)

内部

環境

強み(Strength) 強みによって機会を効果最大化(SO戦略) 強みを活かして脅威を機会に変える(TO戦略)
弱み(Weekness) 弱みへの対策により機会を掴む(WO戦略) 弱みから最悪のシナリオを回避する(WT戦略)

こうして得られた4つのファクターに対して、様々なアプローチを想定することで、当該企業が現在進めている戦略やプロジェクトなどが正しい方向に向かっているのかどうかを判断する材料とします。

(実務的には、これらを様々なパラメータを調査して、もう少し定量的に評価することになりますが。)

仮説から始める

クロスSWOT分析で機会を最大限有効活用する強みを伸ばす戦略を提示しましたが、これらは弱み、脅威についても同様に、計4つの組み合わせで戦略を提示することができます。

しかし、このように戦略を幾つでも提示できる、いわばブレスト的な使い方ができる一方で、デメリットとしては効果の低い戦略も上がってしまうということもあります。

そこで重視されるのが仮説志向です。

どういうことかというと、全てを網羅的に戦略を提示することは無駄なので、有効だと思われる戦略を選ぶため、いくつかの仮説を立て、その仮説に基づいて戦略を立てる必要があるのです。

例えば、先ほどの小売企業の例で言えば、まず海外で地域にあったブランド力、市場浸透を図るというような仮説を先に立てます。

そのあと、SWOT分析で強み(S)と機会(O)を掛け合わせることで、SPA(製造小売)という製造から販売まで一貫して管理できるという強みと海外事業が好調であるという機会の最大化を図るために、海外でもマーケティング、調査、開発、製造、販売までを一気通貫に海外支店に任せることで、地域にあったブランド力、市場浸透を図ることができるかどうかをデータを使って検証していくことにあります。

これが検証できて初めて戦略として提示できるものになります。

アナリストとして 仮説を立てて戦略として提示する

企業のアナリストも、マーケターや経営陣もこうしたフローで数少ない情報を元に、企業資源を有効活用しつつ、確かな戦略を立てて企業の目的を達する方向に導かなければなりません。

一つの企業の情報を集めるだけでも一苦労ですので、フレームワークの使い方に早く慣れて、少ない時間で最大限の効果を出す戦略を提示する必要があるのです。

当該記事の参考

SWOT分析とは

https://blog.kairosmarketing.net/marketing-strategy/swot-analysis-20131127/

http://www.darecon.com/tool/swot1.html

関連記事(作成時の参考)

トヨタのSWOT分析⇨当サイトにおける「トヨタ自動車の将来分析」へのリンク

http://www.darecon.com/swot/index.php?トヨタ自動車

ユニクロ分析(swotじゃないので応用する)

https://matome.naver.jp/odai/2130633781227765701

https://kotobank.jp/word/SPA-22521

http://www.00keiei.com/kigyou-senryaku/uniqlo.html

3C分析とは

https://blog.kairosmarketing.net/marketing-glossary/3c-analysis/

バリューチェーン分析とは

http://www.darecon.com/tool/swot1.html

5フォース戦略とは

http://www.darecon.com/tool/fiveforce.html

コアコンピタンス戦略とは

http://www.darecon.com/tool/core_comp1.html

DCF戦略とは

http://www.darecon.com/tool/DCF1.html

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。