株がダメなら債券?新興国債券の投資に対する考え方

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今、株式市場は空前の上昇相場です。

投資家が強気になって、一方的に上昇する相場のことをブル相場と呼ぶのですが、一方で急激な上昇に対して不安感を抱く人もおられるかと思います。

その中には株価の下落に備えて債券に投資したいという考え方の人もおられるでしょう。

確かに株と債券は反対に動く関係にあります。

値動きの激しい株式投資よりも、値動きは少ないものの、配当金のような定期的な利息収入と元本が担保されている債券投資の方が魅力的だと映るのはわからなくもありません。

債券投資の種類

そもそも債券とはどのようなものなのかおさらいします。

債券は株式同様、資金を調達する手段の1つですが、債券を発行できるのは国や企業で、国が発行した債券のことを国債、企業が発行した債券を社債と呼びます。

また発行する国や企業のことを発行体と呼びます。

その社債や国債を株式のように売買することができるのですが、この債券投資について軽く見ていきます。

債券投資と一口に言っても、様々な債券があって選ぶのに一苦労します。

日本に上場している株式は4000銘柄程度ですが、発行されている債券は発行体と各種条件(満期、クーポン利回り、割引率)によって無数にあり、種類は数え切れません。

ただし、株式同様、債券にもインカムゲインとキャピタルゲインという考え方があり、投資に対する考え方は同じです。

インカムゲインとは株式の配当のように、債券を持っているだけでもらえる利息のような収入のことを言います。

この持っているだけでもらえる利息収入のことをクーポンと呼びます。

元本が発行体によって保証されていて、定期的な利息が入ってくるので、債券を持ち続けている投資家からすると定期預金に入れているような感覚に近いです。

また意外かと思われる方もいるもしれませんが、債券にもキャピタルゲインという考え方があります。

これは投資額よりも債券価格が上昇した時に売却する値上がり益のことです。

当然、投資額を下回るとキャピタルロスといって損失を出すこともあります。

こうした値上がりや値下がりはクーポンの値段や債券市場の動向、発行体の倒産リスクなどの状況によって変動します。

株式にもインカムゲインとキャピタルゲインがありますが、債券の方がインカムゲインもキャピタルゲインも小さい一方で、キャピタルロスとなるリスクも低いイメージです。

冒頭で述べた株が下落しそうな局面で、債券投資に切り替えるというのはこうした考えに基づくものです。

新興国債券への投資について

債券の種類で、発行体が国や企業であると書きましたが、当然発行体は日本だけではありません。

発行体はアメリカやヨーロッパ、中国、アジアなどの新興国や、その国に属している企業も含まれます。

実は国によってクーポン収入が多かったり少なかったりするのですが、特に新興国債券のクーポンは高い傾向にあります。

例えば極端な例ですが、トルコの現在の国債(4年債)の利回りは約25パーセントです。

これは100万円の投資で毎年25万円がもらえる計算です。

実はトルコはささいなことからアメリカとの関係がこじれていました。

トルコにとって都合の悪いイスラム系の主導者がアメリカに亡命したことに端を発し、引き渡しに応じないアメリカとの関係が悪化します。トルコはイランやロシアとの関係を強化するとともにアメリカがテロ組織IS対策で関係を強化していたクルド人組織をめぐっての溝が深まっていく中で、アメリカ人牧師の拘束によって対立が決定的となり、地政学的なリスクに発展したのです。

こうした対立の中で対トルコへの輸出制限などの経済制裁が行われ、インフレが加速すると同時に通貨安が続き、通貨リラは2018年になって対ドルで半分近くにまで価値が下落しました。

トルコの中央銀行はインフレを抑えるため、2018年9月13日の日本時間午後8時に6.25%の利上げを行いました。

一度に金利を6%以上も上げるというのは異常な事態ですが、この金利と国債の利回りが連動しているため、トルコの国債には25%近くのクーポンが付いているのです。

当然、こうした対立は地政学的なリスクに発展するため、アメリカやトルコのみならず、日本やヨーロッパなど世界的な株価下落に発展し、トルコショックと言われるようになりました。

こうした例は極端ですが、高すぎるクーポンや利回りの高い債券には何かしらのリスクがあります。

特に新興国ということになると、この地政学リスクに加えてさまざまなリスクを考えなくてはなりません。

投資対象の国の通貨が下落すれば、その債券の売却時の価格も下落します。

またインフレが加速すると先のトルコのように政策金利が引き上がるので、債券価格は下落します。

債券投資で難しいのは、通貨安の国で為替の戻りを期待して(為替差益を狙って)現地通貨建の債券を購入しても、為替水準が戻る過程で物価が高まるので金利上昇、債券価格が下落してしまう可能性があ。結果的にキャピタルロスを生み出す可能性があるのです。

このように特に今のようにアメリカの利上げ局面では、より高い金利の商品を購入しようと新興国からアメリカに資金が流出するなかで、相対的に魅力度の低い新興国通貨や債券は金利やクーポン利回りを引き上げることによって既存債券の価格が下落する傾向にあります。

またトルコやアルゼンチンなど、財政不安のある新興国では金利引き上げによって、更なる財政不安が生じることによっても価格が下落します。

新興国債券は利回りが高いという魅力がある一方で、為替やインフレによるリスクにさらされており、今のように世界的な利上げが開始された局面ではあまりお勧めできるものではありません。

管理人としては、逆に資金が集まっているアメリカの債券に投資することを検討します。

投資は自己責任で。

それではまた。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。