マスターカードは買いか?
画像はマスターカード(MA)の株価の推移です。
惚れ惚れするような右肩上がりですね。
マスターカードといえば有名なクレジットカードの会社ですが、株価は上昇傾向にあるため今後買うべきか悩んでいる投資家は多いと思います。
今回はマスターカードの事業を理解した上で管理人の投資方針について買いてみようと思います。
クレジットカードは身近にある存在ですが、MAが実際にはどんなビジネスで何で稼いでいるのか正確に理解している人は少ないのかもしれません。
MAについて詳しく知る前に、まずクレジットカード業界の仕組みを理解する必要があります。
クレジットカード業界の登場人物
クレジットカード業界には3人の登場人物がいます。
– アクワイアラ
直訳すると獲得する人である通り、カードの加盟店を獲得・管理する会社です。
獲得とはお店にカードが使えるよう導入を依頼することで、管理とは店舗の売上を記録して支払い金額を計算するなどの管理をしています。
– イシュア
カードのブランドから利用する権利(ライセンス)をもらってカードを実際に発行すると共に、カードを利用する購入者の与信審査をしたり、利用金額を徴収する業務を行なっている会社です。
アクワイアラがカードの店舗側を向いているのに対してイシュアは決済支払者に向いていると言えます。
そのため、ポイントを発行したり、還元しているのもイシュアです。
例えば三井住友カード、イオンファイナンシャルサービス、楽天カード、三菱UFJニコス、セディナなどはイシュアで、MasterCard,Visaなどの国際ブランドのいずれか(あるいは複数)からライセンスを受けて、クレジットカードを発行しています。
少しややこしいのですが、三井住友カードなどの大手はイシュアであると同時にアクワイアラでもあり、これらの役割は同時に担うこともあります。
– ブランド
イシュアに対してライセンスを提供し、店舗と購入者の間の決済システムを提供します。
MasterCard、Visaが2大国際ブランドと言われ、発行枚数では9割、売上では全体の6割を占めています。
2大国際ブランド(ネットワーク)に加えて、JCB、アメックス(American Express)、ダイナーズ(Diners Club)を5大ネットワーク、これに銀聯、ディスバーカード(Discover Card)を追加すると7大ネットワークと呼ばれます。
以上がクレジットカード業界の簡単な説明になりますが、MAは7大ネットワークのブランドの中でも特に最大のネットワークを有しています。
MAの主要ビジネスは国際ブランドとして発行したカードの決済時におけるトランザクションフィーによる収入です。
カード利用者から直接的に徴収するのではなく、カード利用額の引き落とし先である金融機関から手数料をもらっているところがポイントです。
今後の業績のポイント
MAを始め、カード会社の業績は年々良くなっていますが、その背景としては以下の3点が挙げられます。
・世界的な人口増加
・旅行者数の増加
・スマホの普及とオンライン決済の増加
現金によらない決済の増加がこれらの変化を追い風として、プラスティックマネーと呼ばれるカードでの決済が増えています。
一度カードでの決済に慣れた消費者は持ち運びと支払いの手間のかかる現金決済に戻ることはできないため、このトレンドは不可逆的なものとなります。
それまで現金決済しか受け付けていなかった店舗もオンライン決済やカード決済に対応せざるを得なくなっていくことが予想されるため、市場の成長は当面続くものと思います。
市場の成長に伴い、カード決済の大元を握っているカードブランドはさらに影響力を持ち、金融機関に対して手数料の価格交渉ができるようになります。
実際、MAとV(ビサ)は今年2019年4月に自社のカードネットワークを利用した決済手数料を値上げしました。
また、通常の決済に加えて、カードローンやキャッシング、リボ払いなどの手数料はさらに高く、消費者は自分で払える額以上の消費ができることを利用して、カード会社は売上を伸ばしています。
MAの懸念点
このように魅力的に見えるカード会社ですが、管理人が懸念しているのはバリュエーションです。
オンライン決済や世界人口の増加は各ブランドのネットワーク拡大に追い風となっていますが、市場が飽和した後はゼロサムゲームになることや、急激なハイバリュエーション化による調整する可能性が指摘されます。
また、管理人が目指している配当による安定的なキャッシュフローという観点では同社の配当利回りは0.5%以下と低いことから、株価が低迷した場合に評価損となる可能性も投資を控える理由になります。
いずれにしてもMAに投資をする場合、出口戦略としていつ売るかを短期的に意識しなければならないため、管理人の運用方針にそぐわないと考えます。
今後株価が調整したり、配当利回りが大幅に改善された時に参入を再度検討してみたいと思います。
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パウエル五郎

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