RIZAP(2928)の今後の挙動 [ 2017-11-15更新 ]

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(2017年11月15日アップデート:以下の文章中の株価は2017年8月10日現在のもので、当時1,800円程度だった株価は2017年中に3,000〜4,000円を目指すと記載がありますが、11/15日引け値では1,999円となっております。これは同年10/1に株式分割(1株→2株)を行った結果によるもので、予想通り順調に推移しております。)

このサイトで個別銘柄について触れることは珍しいのですが、気になる銘柄があったのでご紹介しようと思います。

タイトルの通り、その銘柄とはRIZAP(2928)です。

2017年前半の株式市場のハイライトといえばライザップの買収劇

今年の前半は色々なことがありましたが、特に印象的なのはライザップを中心とした健康コーポレーショングループによる破竹の勢いのM&Aです。

直近買収した企業だけでも11社にものぼり、その中には市場一部上場のジーンズメイトなども含まれます。

連結子会社一覧

札幌証券取引所の、しかも新興市場であるアンビシャスに上場する時価総額数百億程度の企業が東証一部銘柄も含めた買収を次々に実行して行く。

これは何かあるに違いありません。

この買収劇が意味するものはなんでしょうか

RIZAPの直近業績推移

まずrizapの直近業績推移について見てみましょう

上記は私の方でIRから直近の業績を集計しましたが、2017年からIFRSへの移行もあって一概に横比較できない部分もあります。

冒頭で述べたように2017年は特に企業買収を展開し、中には赤字企業も含まれたことに加え、TVなどによるCMなどの広告宣伝費が重なって営業利益は伸び悩んでいますが、それでも右肩上がりの成長となっています。

次に足元の第一四半期の経営状況を確認してみます。

買収によって収益力の多角化が進む

平成30年第一四半期の決算短信を読むと、rizap美容・健康関連、アパレル、住関連ライフスタイル、エンタメという4セグメントからなっていることがわかります。

特に、ライザップグループの本丸であるパーソナルトレーニングサービスの売上が予想を上回って推移していますが、さらなる先行投資を実施すべく、引き続き広告宣伝費がかかけていること、赤字企業の買収も含めて営業利益は前年同期比▲27.5%になっています。

広宣費や赤字企業連結化に伴う営業利益の圧迫もありながら、将来の営業利益の拡大に貢献すると思われるのは、ライザップが買収した企業の一つであるマルコ株式会社の存在感からです。

女性用補正下着のマルコ株式会社は同社による抜本的改革により9期ぶり黒字転換に成功しています。

このため、健康コーポレーションはこの後もライザップを中心としたパーソナルトレーニングビジネスを核としつつ、周辺の健康と美容関連の事業の売り上げを拡大して行くものと思われます。

その他のセグメントも合算すれば前年同期比でまちまちですが、将来的には増収増益の要因となるでしょう。

なぜこんなにも拡大しているのに札幌アンビシャスに上場しているのか

ここからは完全に推測の域を出ませんが、合理的に考えれば自ずと将来は見えてきます。

まず最初にアンビシャスに限らずに上場するメリットとしては

・上場基準が緩い

・上場コストが安い

・手っ取り早く資金調達をして次の一手に出ることができる

ということが挙げられます。

例えば、同じ新興市場の東証マザーズでは上場時時価総額が10億円なのに対して、アンビシャスはこうした基準はありません。

マザーズとの比較では、他にも株主数の規制もアンビシャスの方が緩いです。

(※マザーズは200人必要なのに対してアンビシャスでは100人で良い)

このため、仮にこうした基準に達していない場合、その基準をクリアするためのコストはアンビシャスの方が低いと言えます。

上場コストという点では書類上の審査項目や上場審査料、上場手数料など諸々の点でマザーズの方が低いと言っても過言ではないでしょう。

ただ、このように上場コストが低い点について記載しましたが、こうした点に加えて、当時、主力商品だったダイエットに効く豆乳クッキーの生産が北海道だったことなども起因していると思われます。

このような観点で素早く上場して資金調達を行い、次の一手に繋げるという点において、マザーズではなくアンビシャスに上場するという必要があったのかもしれません。

ではこの調達した資金をどうするのか

これは最近の買収劇を見ればお分かりでしょう。

買収を繰り返して会社の規模を大きくし、収益の多角化を図る

です。

手続きが簡単な市場に上場して、資金調達を行いつつ、大規模で奇抜なTV広告によって認知度を高め、収益の質を高めつつ、多角化を図る、これほど戦略的に有効なことはありません。

会社の規模を大きくするだけでなく、買収した企業の経営改善にも力を入れ、抜本的改革を行い、ホールディングス全体の利益を拡大する

最終的にはバランスシートの中身、収益力の質が高めて行くというのが企業買収の王道です。

では何のためにこんなにも企業規模を大きくしているのでしょうか。

ここであるエピソードをご紹介します。

今年の株主総会での一幕です。

株主からはズバリ「市場指定替えはいつになるのか」という質問があり、瀬戸社長自らが

我々も着実に進捗していますが、2~3年先の夢物語を話すわけにはいきません。楽しみにお待ちいただければと思っております」

と何かしら含みを持たせる回答となりました。

鞍替えはいつなのか?という問いに対して、「着々と進捗している」と答えているのです。

通常であれば、上場企業の社長ともなれば未公表の事実を会見で断定的に答えることはしません。

セオリー通りに答えれば、そういう事実はございません、と答えるのが正解でしょうか。

でも瀬戸社長はそう答えずに、進捗している、と答えているのです。

しかも、数年以内に何かが起きるということを示唆しています。

何が起きるのでしょうか。

冒頭からお読み頂けてる方はもうすでにお気づきでしょう。

以上、元アナリストの主観と邪推でした。

ここからは個人投資家としてどうすべきかです。

ライザップの今後と次なる買収候補

恐らく、市場で多くの方が推測している通り、RIZAPは東証一部に上場します。

株価は8/10日現在1,850円で、時価総額は2400億円です。

PER30倍、PBR14倍、直近高値は7/4につけた2,300円ですが、年初来安値は1/26につけた757円です。

おそらく子会社のテコ入れが順調に進み、堅実に経営がされた上で、上記のような市場における資本異動が起きれば、株価はさらに上値を目指して年内に3,000〜4,000円※に向かうかもしれません。

※2017年11月15日更新:現在は1,999円(10/1の同社株式分割により実質3,998円)となっています。

また、ライザップの買収はまだまだ進むと思いますし、一部に上場して会社としての信頼性や知名度を上げつつ、主力の美容・健康関連セクターは日本の高齢化社会における健康市場に食い込むことができれば、さらなる成長も見込めるはずです。

ただし、ここで不足しているものがあります。

スポーツジムや健康器具、衣料で健康意識を高めたあと、物販、通販に繋げる必要がありますが、物流網やそのための準備がありません。

現在、スポーツジムを中心に健康関連で収益を伸ばしているライザップは、おそらく健康食や健康医療といった分野に更に進んで行きつつ、多角化を進めて行くでしょう。

そうなった時に現状不足しているのが、販売した商品を届ける機能です。

個人的にアタリをつけているのがヤマトや佐川などと提携、もしくは小規模の物流会社の買収が考えられると思います。

前者はアマゾンの物流網で疲弊している感があり、若干保守的な事業展開となっている傾向があるので、可能性としては後者の案です。

東証に上場するメリット

機関投資家目線でいうと、日々グローバルマーケットの中で定量的なスクリーニングをして優良銘柄を探している大型ファンドにとって、通常は投資対象となる銘柄を各国の主要市場でスクリーニングするのが通例です。

主要市場とは日本でいうところの東証一部です。

つまり、東証1部に上場することでグローバルに投資している国内大型ファンド、海外投資家からの資金が集まりやすくなることで株価が上昇すると共に資金調達も容易になりますので、同社の資本政策の柔軟性がますます上がります。

すなわち、一部上場によって流動性が増して、資本政策が打ち出しやすくなるというメリットがあるのです。

恐らくこうした点に目をつけて資金調達を図りつつ買収を続けて、企業規模を拡大して行くものと思われます。

2017/11/15更新

この記事のあと10/1に同社は1株→2株となる株式分割を行うなど資本政策を加速させています。

株式分割を行うことで、一単位購入する敷居が下がるため投資家の買いが集まりやすくなることに加え、自己株式を放出(売却)することで資金調達を行ったり、株式交換によって買収や提携が容易になるなど資本政策を含む、企業戦略上の柔軟性が増します。

この結果、株価は2倍以上になっているのです。

今後もRIZAPの一挙手一投足から目が離せませんね。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。