株価の分析でよく使われるプロスペクト理論を簡単な算数で考えてみる

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プロスペクト理論を簡単な算数で説明してみる

金融機関では株価の予測や分析を日夜行なっており、その中では心理学や経済学の様々な理論が使われています。

株価の分析として広く知られているのは財務諸表計算書や損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などを用いた財務分析や、クニカル分析と呼ばれる相場の値動きを予想する経験則などが有名ですが、プロスペクト理論と呼ばれる人間の行動心理を体系的にまとめた理論も使われるようになっています。

プロスペクト理論は以下の3つの理論で構成されます。

参照点

1つ目は参照点と呼ばれるものです。

これは人の心理は参照点と呼ばれる心理的に決められた基準に対して相対的に評価するということ。

例えば株価がいくら割安であっても、自分の取得価額より高くなって評価益が出ていたら、売ってしまいたいという気持ちが出てきますよね。

これは自分の取得価額を参照点として設定しているからです。

感応度逓減性

2つ目は感応度逓減性と呼ばれており、その名の通り利益や損失に対する感じ方が逓減していくというものです。

例えばトータルの利益が1万円の時の1000円の利益とトータル500円の時の利益1000円では感じ方が全く変わってくるというものです。

損失回避性

3つ目は損失回避性です、

利得よりも損失の方が大きく感じるというものです。

特に最初にお伝えした参照点の近くでは利得よりも損失の方が2倍以上強く感じるそうです。

実はこの3つは1つ目の参照点という心理学的なメカニズムに対して、2つ目と3つ目のような現象が起きるという関係性です。

参照点についてもう少し解説しておきましょう。

参照点は人が決める基準のようなものですが、通常多くの人は自分で心地よいと思う水準を前提に置きたがるものです。

そのため、上昇時は上昇後の値段を参照点と置きがちだし、下落時はもとの値段に戻ることを期待してもとの値段に起きがちです。

簡単な算数で解釈してみる

まず感応度逓減性について見ていきます。

基本株式をベースに説明しますが、それだけに当てはまるものではありません。

数字のトリックとしては簡単で、50万円の株式を持っている時に30万円上がるのと、100万円の株価の時から30万円上がるのでは、前者が60%の上昇に対して後者は30%しか上昇していません。

30万円という増えた金額は同じなのに後者の方が効用(人が考える気持ちが低いことが分かります。

このように保有している額が大きかったり、利益が出続けている時には、感覚的に評価が小さくなりがちになるというのが感応度逓減性の本質です。

次に損失回避性に対してですが、こちらは変化の方向が変わるので上昇時と下落時それぞれ別に評価してあげる必要があります。

今、手元に100万円の株式があったとして30%の下落によって70万円になったとします。

その後、もとの100万円に戻るためには70万円から42%の上昇が必要になります。

下落幅の金額と下落前に戻る金額を比較すると、必要な金額は同じはずなのに比率に直すと1割以上も多く感じてしまうのです。

この場合、元々の金額である参照点が100万円となりますが、下落した時よりも元に戻す方がよりエネルギーを必要とすることがわかります。

同じ30万円でも上昇と下落では感じ方が違って、利益よりも損失を嫌がるという現象が損失回避性の本質です。

同じ100万円から30万円増えて130万円になるのと、30万円減って70万円になるのとでは変化分は同じ金額で比率も同じはずです。

しかし、元々保有していた金額という参照点があるために、その水準に戻ることを期待するが故に、同じ金額でも下落に対する嫌悪感が強くなるのです。

まとめ

損失回避性も感応度逓減性も、プロスペクト理論という1つの心理的な現象(感じ方)ですが、その本質は人間が参照点という基準に対して比率として評価するが故に、ポジティブなニュースよりもネガティブなニュースの方を重く受け止めてしまうということなのです。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。