年金制度に対する正しい認識とその不安と対策

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話題の2000万円問題

巷では「老後の2000万円」問題が話題になっています。

老後の2000万円問題とは、金融庁が主催する金融審議会「市場ワーキング・グループ」において、老後の生活資金として年金だけでは足らず、追加で2000万円が必要になると書かれた報告書が出されたことに加え、金融担当大臣(兼財務大臣)でもある麻生副総理がこの報告書を、国民の不安を煽ると受取拒否した問題のことです。

この話題はワイドショーやニュースなどでも大きく取り上げられ、昨今の年金制度への不信感が増長されていたこともあり、twitterなどのSNSでも炎上につながりました。

しかしながら、多くの人やニュースサイトがこの問題を語るときに、二つの意味で誤解しています。

一点目、国民の多くが運用成績の悪い年金制度は将来的に崩壊し、国に払っている自分たちの年金が老後にもらえないのではないかという不安をもっている点です。

こうした不安が妥当かどうか、実際に現在の運用成績について見てみましょう。

代表的な年金の管理主体であるGPIFという組織に注目すると、自主運用に切り替えた2001年からの累積収益額は実に70兆円に達しました。

特に直近この10年間では平均5%の収益率という破格のパフォーマンスを叩き出しています。

年金制度は投資成績が悪いどころか、非常に優秀な成績を残していることがわかります。

https://www.gpif.go.jp/gpif/faq/faq_05.html

年金が不安なのは現状の収益率が低いからではなく、逆にこうした高いパフォーマンスの実態が官製相場であるからです。

最近では日本株の主要株主は政府であると揶揄されるほどですが、実際にこの10年で日銀は30兆円近くの日本株ETFを購入し、日本株全体の4%を保有している大株主です。

言い換えると自らの買い圧力でパフォーマンスが支えられている側面があります。

こうした官製相場は今後長く続くとは限りませんし、実際に続いた場合、円の信任が低下する恐れすらあります。

官製相場が落ち着くと25%のシェアを持っている日本株の年金ファンドへの影響は大きいので、年金の運用成績は将来悪化する可能性があります。

二点目、多くの人が年金を払っていれば生活資金が不足することはないと思っている点です。

そもそも、2000万円の生活資金が不足していることと年金制度は関係がありません。

年金を払っているのに生活資金が不足する可能性があることに不満を持つ人はその考え方がお門違いであることに気づくべきです。 

仮に生活資金が足りなかったとしてもその不足金に対して国が面倒を見る義務など最初からないのです。

年金とはあくまで納めた額に応じて一定額を支払うという制度に過ぎません。

そもそも厚生労働省は公的年金制度について、

国民のセーフティーネットの中心として、将来の経済社会がどのように変わろうとも、やがて必ず訪れる老後生活の支えとして実質的に価値のある年金額を、終身にわたって、確実に保障することを役割とする

と表現されていることからも、老後生活の支えであるに過ぎず、確実に保障しているのは終身に渡って、という支給期間についてのみであることがわかります。

年金とは自分の老後に加えて自分以外の誰かを支えるための制度であることがわかります。

例えば厚生年金はGPIFというファンドによって運営されていますが、その資金は民間の銀行によって運用されており、銀行側からしてみればファンドへの入金(納付)も支出(給付)も区別はありません。

これが何を意味しているかというと、働いている若い人も定年間近の人もみんな同じお財布で管理されており、定年退職後に支払われる年金は現役世代の財布から給付されているのです。

年金が自分以外の他者のためのセーフティネットと呼ばれる所以は、自分の将来のために積み立てている(と思っていた)年金が実はそのまま老人たちの年金の支給に使われているからなのです。

このような管理制度から分かってくるのは、現役世代が定年退職後にもらう年金はその時の現役世代の納付額を基にしており、人口が縮小する日本においてその納付額が少なくなっていることは(今は運用成績の良い年金ファンドも、将来の成績を保障することは困難であるため)我々がもらえる給付額も少なくなるということです。

このように、年金によって余裕ある生活を保障することなど、国も年金運用者も制度設計者も誰も最初から担保していないことがわかります。

むしろ年金は割りの良い保険のようなものと割り切ればその給付金が貰えるだけでありがたい、という程度のものに過ぎず、年金をあてにするのではなく、あくまで自分で稼いで余裕のある生活のための資金を準備しておく必要がある、今回の騒動からは多くの人がそんな教訓を得られたのではないでしょうか。

どんな対策がある?

では、こうした誤解をなくした上で我々一般の人たちは具体的に何をすれば良いのでしょうか。

まず、年金の加入と納付は国民年金法という法律で定められた義務ですが、法律や制度に対して不満を言ったり納付をやめるという強硬手段に出るのではなく(笑)、老後も含めて自分の生活は自分で責任を持つということです。

当然のことだと思われる方も多いかと思いますが、意外にも多くの方が年金のみに依存した老後の生活を送っています。

年金に頼るのは経済学的には世界中で魅力的な銘柄が数多くある中で日本の株式や債券などに比重を置いた、かなり偏った運用のスタンスを取ることになります。

日本のウエイトが異常に高いのは自国経済を公的な年金資金を使って浮揚させようとする安倍政権になってから加速しました。

このような偏ったポジションに自らの資金を運用させることは恐怖でしかないので、分散投資を徹底すべく、国のGDPなどの経済力によって分散するか、自信があるなら特定の国や業種に対して自らポジション調整を行う必要があります。

年金と同様の仕組みを正しいスタンスとして自分でも作る方法としては、このブログを読んでいる方にはお馴染みの米国株高配当銘柄を購入することなどが挙げられます。

これにより毎年5%以上の配当金が今からもらえます。

まとめ

今回は老後の生活や年金というスコープで資産運用を考えてみました。

まとめると、年金は現在の運用実績が悪いために現役世代の給付が困難であるわけではなく、年金制度そのものが人口増加していた高度成長期に作られたものであるため、現在の日本に当てはめることが困難になっていることに加え、現在のハイパフォーマンスが年金などの公的資金による日本株への買い圧力によって作られた官製相場にあり、これが未来永劫続くとは限らない。

だから管理人は高配当の米国株を購入するし、読者の皆さんにも正しいポジションを持つことを願っています。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:金融機関で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。

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