大きな失敗からの出発
船出
私はもともと銀行や国内外の証券会社で、銘柄調査をするアナリストや売買計画を立てるファンドマネージャーやトレーダーとして15年以上相場に携わってきました。
その後、自分で稼げるという自信を持って、個人投資家に転身しました。
個人投資家デビューへの洗礼
個人投資家として売買を始めた一ヶ月間はトレーダー時代の知見で一定の利益を出し続けることができました。
うねり取りと言われる一定期間で上げ下げをうまくつかみ、順調な滑り出しのように思えました。
しかし、その後、相場が思わぬ方向に進みます。
レバレッジを効かせていた私は冷静な判断がつかなくなって、証拠金を積み増して対応していましたが、軍資金も底をつき、新たな預金にも手を出しそうになっていました。
後で振り返ると、経済のパラダイムが変わった瞬間で運が悪かった部分もありますが、今と違って自分を過信していた部分や、機関投資家として経験が
幸か不幸か、かすかな理性によって差金決済によって300万円くらい損失で取引を終了しました。
相場は自分が思っていた方向とは違う方向にどんどん進み、後になって振り返れば正しい判断だとわかりますが、しばらくは何も手につけられませんでした。
俗にいう黒田バズーカでした。
黒田日銀総裁による異次元の金融緩和は市場に流動性を取り戻し、それまでのデフレを脱却し、日経平均も15,000円から2018年後半には一時、24,000円を超えるほどになります。
今思えば、最初の利益を出せたのはビギナーズラックだったのかもしれません。
機関投資家と個人投資家では売買手法や考え方が異なりますし、前職の延長線上で取引をしていたため痛い目を見てしまいました。
少し高い勉強代がかかったと思って、今となっては良い思い出です。
しかし、その時は短期間で自分の資産をそれだけ損するという経験をしたことがなかったので、数週間ほど何をするにも上の空で、食事すら喉を通りませんでした。
結果的にその損失は回収することができたのですが、その時の記憶はほとんどなく、後悔だけが今でも残っています。
教訓
しかし、今ではこうした損失に対して悔やむことはなく、むしろ結果的に良かったと思っています。
それはこの取引のお陰でそれまで知識として持っていた教訓が身に染みましたし、世の中の教訓をどう捉え、具体的にどうすべきかということを学んだからです。
その教訓とは損失を限定し利益を確実にするため仕組みづくりが必要だということです。
投資家といえど、常に株価をチェックし、すぐに発注できる体制を作ることは時間的にも経済的にも不可能だからです。
そして、この仕組みづくりは知識として知っていたとしても、おそらく本当の意味で実践している方は少ないように思います。
個人投資家であれば財力は限られているので機関投資家と同じ量の調査行動をし、有益な情報を取得し、複雑な売買手法を実現することはできません。
できないことを最初からやろうとするのではなく、自分ができる範囲内で、リスクを管理し、利益が出るよう取引を続けていく必要があります。
もちろん、一時的な損失は覚悟しなくてはいけませんが、そこに自分の判断を挟むことなく自動的に淡々と投資行動を取ることによって、感情の起伏に左右されることもなく、また精神衛生的な不安をもたらすことなく、淡々と売買するというのが仕組み化の本質です。
世の中の株式投資に対する教訓は知識レベルのことはありますが、それをどのように実践するかという本当の意味での高いレベルの金融リテラシーがあまり書かれていません。
また知識として持つということと、具体的なアクションに落とし込むという間には大きな谷があります。
その谷は大きく深い暗闇で少し覗き込んだだけでは到底知ることはできず、深い谷底まで転落して這い上がった人ではないと、その深さや這い上がり方を知り、その谷を回避する行為を理解することはできないかもしれません。
こうした知識や教訓と投資行動の間にある、どのように投資行動に落とし込むかという部分はネット上にあまりありませんので、それを残すことで同じ轍を踏む人を少しでも少なくしたいという思いからこのサイトを作ろうと決心しました。
サイトの立ち上げ
私の失敗からの教訓を残したいという思いでこのサイトを立ち上げましたが、世の中には相場に携わってきた先人たちの教訓がゴロゴロとしています。
私のような若輩者が偉そうに教訓を残すという厚かましさは捨て、今では自分のための記録の場所として謙虚さを胸に、意見や知見をブログとして残しています。
10年前の今日、リーマンショックが起きた当時11,609円だった日経平均は、その翌年の3月10日には7,054円をつけました。
そして10年経った今日2018年9月15日、日経平均は23,094円と227%も上昇しました。
この10年で自国優先の経済政策を取る国が多くなるなど、世界は大きく変わりました。
新しい世界へと変化する時代の中で、終わることのない学びの場としてこのブログを書き続けていきます。
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パウエル五郎

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