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IPOとは
IPOとはInitial Public Offeringの略で日本語では新規上場と呼びます。
上場することで企業はより多くの投資家(市場=取引所)から資金を集めることができるようになります。
株式を取引所で売買できるようになれば、企業は資金調達が容易になるだけでなく、一定の審査を得ている「上場企業」と見なされて取引がしやすくなることもあります。
より詳しくは以下の記事でIPOのメリット、デメリットをご覧ください。
http://www.kabuworld.com/ipo%e6%8a%95%e8%b3%87/
一方で、IPOに関わろうとする関係者ではない個人投資家が関わると9割以上が損するという統計も出ています。
個人投資家はIPOの恩恵を得ることができないかというと、実はそんなことはありません。
実はあるルールを徹底するだけでIPOで得をする1割の投資家になれます。
銀行員時代、ファンドマネージャーとして多くのIPOに関わってきましたが、個人投資家がIPOで失敗する原因について説明します。
IPO投資の失敗とは
上場後に高値でつかまされるケース
まず、最初にご紹介するケースがIPOに応募せずに上場直後の高値で買ってしまうケースです。
後から見たらわかりやすいですが、IPO直後というのは急上昇した後に急落する場合が多いです。
例えば、2013年12月に上場したホットリンク(3680)は、上場直後の1ヶ月間は急上昇して5,000円台後半を乗せた後、数年間かけてひたすら下落し続け、株価は10分の1になっていることがわかります。
【2013年12月に上場したホットリンク】
急上昇した後に急降下する原因
なぜこのような急上昇と急降下が起きるのでしょうか。
これはそもそもIPOという制度自体の欠陥があります。
冒頭にも述べたように、国家戦略として少しでも多くの企業が上場しやすいように、上場企業と関係者に優しい制度になっています。
例えば、公募価格自体が企業の収益力に見合っておらず、実態よりも高く設定されているという現実があります。
上場企業の社長や関係者にとっては、公募価格を企業の実態を表す価格よりも高く設定することで、初値がそれに引きずられる形で市場での売買価格が高くなり、その高い価格で売ることができるので、より多くの資金を得ることができるのです。
また初値や取引価格に応じて手数料をもらう証券会社にとっては、少しでも株価を高くすることで手数料が高くなるので、IPOにかかる取引手数料を多くもらえることができるのです。
つまり、初値そのものを安くする理由がないのです。
ではこうしたケースでは個人投資家が儲かる方法はないかと言われると決してそうではありません。
こうした現実をしっかりと捉え、その上で個人としてどのように戦うかという戦略を立てる必要があります。
個人投資家としては、上場企業と証券会社に優しいといわれている制度を逆に利用すれば良いのです。
例えば、初値自体が企業実態よりも高く設定されているならば初値以上で購入することは絶対避けるべきです。
必ず下がると言われているのに初値で買う必要はありません。
実はこれは言うが易し、行うが難しです。
初値後はロックアップ期間と言って、既存株主が売却できない期間となっていて当分の間は株価は上昇します。通常、ロックアップ期間は180日間と言われていて3ヶ月程度は売り手が不在で株価が上昇する期間とされています。
この株価が上昇し続けているのに買ってはいけないと自分を律することは難しいですが、先の例で見たように実態に見合っていない初値から急上昇した株価はすぐに急降下します。
個人投資家としてIPO銘柄を初値、もしくはそれ以上で買うのは避けるべきというルールは意外と徹底されていないのです。
初値が公募価格を下回るケース
初値がすでに企業実態に見合っていないから買うべきではない理由について解説しましたが、それでは個人投資家はIPOで儲けることができないではないかというご指摘をもらうかもしれません。
初値で買うべきではないと言いましたが、初値より安いところで買うべきではないとは言ってません。
初値をつける前に、初値より安い値段で購入する唯一の手段は、IPOの公募に応募することです。
通常、IPO公募価格は初値より安い値段となります。
これは先ほど説明した、上場企業や証券会社、上場前の関係者に優しい制度を逆に利用するという個人投資家としての戦略の一環です。
従って、IPO銘柄は全てチェックして基本的にほとんどの全ての事案に応募するようにしましょう。
そして初値が公募価格より高くなりそうであれば初値で売ります。先ほど申し上げたようにロックアップ期間は初値より高くなりますが、すぐに数ヶ月から数日の間に下落する可能性が高まりますので売却の最適なタイミングは初値、すなわち取引初日の寄り付きとなります。
これは個人投資家としてIPO銘柄で利益を上げる唯一のタイミングとなります。
ただし、初値が公募価格を下回るケースには注意が必要です。
せっかく、IPOに応募しても唯一の売却時が取得価格より安いのでは利益を上げることができません。
多くの個人投資家にはあまり知られていませんが、これを避ける方法をお教えします。
初値が公募価格を下回るケースというのは、投資家がその銘柄に対して需要が少ないことが背景にあります。
ではこの需要状況をどのようにして把握することができるのでしょうか。
通常、IPOの応募時には全ての証券会社でブックビルディング方式を採用していて、一度応募株数を聞いてから抽選制で当選したかどうかを再度確認することができます。
この制度を利用します。
つまり、応募株数に対して何株が抽選で当選したかわかります。
この抽選で当選した場合、応募株数に対してどれくらい当選したかでその銘柄に対する世の中の投資家がどれだけ応募しているかがわかります。
つまり、この当選状況で、応募に対する需要状況を確認することができます。
応募株数に対して当選株数が少なければ投資家の需要が高いと言えます。
逆に当選株数が多ければ他の投資家の需要が低いと言えるので、上場後の投資家の買いも入りづらず、初値が公募価格を下回る可能性が低いです。
こうした銘柄は例え当選株数が多くても応募しないほうが無難といえるでしょう。
ただし、これには注意があって、例えば証券会社によっては応募状況を事前に推測される裏技を使われたくないので、一投資家に対して単位株しか当選しないところもあります。
SMBC日興証券などがそうした証券会社ですが、SBI証券ではこのテクニックが使えるのでオススメです。
以上が初値が公募価格を下回るケースを回避する方法になります。
値動きが荒い上場直後の数日間で売り時をためらう
なんども繰り返しますが、上場後はいつ値崩れ(株価急落)するかわかりません。
仮に初値で売却できなかったり、上で説明したルールを徹底できずに高値づかみしてしまったら迷わず損切りしましょう。
特にIPO銘柄では高値づかみしてしまったらその株価が時間の経過とともに減少の一途をたどります。
もしかしたら戻るかもしれないというわずかな希望が損失を拡大します。
そうした希望を抱くよりはその売却資金で少しでも良い銘柄を売買して利益を稼いだ方がよっぽど合理的ですし、今後の投資家としての経験値を積むことにもなります。
時は金なりというのは、こうしたケースでも言い得て妙です。
IPOで失敗しないために
IPOで損しないためのルールを説明してきましたが、IPOで失敗する投資家は後を立ちません。
①上場直後の銘柄は買わない
②初値が公募価格を下回る銘柄を判断し、危ういと思ったら公募に応募しない
→募集が上限を超えている銘柄に絞る(闇雲に全部のIPO銘柄に投資しない)
③損切りを徹底する
これらを徹底するだけで簡単に利益を確保することができます。
簡単にと言いましたが、実はこれを知るのとやるのとでは難しさが異なります。
これらを実践することで安易にIPO銘柄に投資せずに募集の段階で初値を予想することができるようになります。
投資は教科書はいくつもありますが、自らで実践することでその知識が血となり肉となります。
まずは証券口座をお持ちでない方はIPOだけでも実践することをお勧めします。
経験の多い人ほど利益を失いたくないと思って実践しづらいのですが、初めての方ほど意外と上記のルールを徹底することができるので利益につながりやすいと思います。
まずはSBI証券で口座を開設してIPO投資を実践してみることをお勧めします。
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パウエル五郎

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