どんな投資スタイルにせよ、グロース投資もバリュー投資も低ボラティリティ投資も高配当投資も〜、戦略を描き方によらず、自らのポートフォリオを管理することは非常に重要です。
ポートフォリオを管理することにより、現状の資産の状況を把握することにつながるからです。
資産の状況とは単に利益が出ているかどうかだけではなく、具体的なリスクを把握したり、将来予測をすることも含まれます。
その結果、思いがけないリスクを見つけたり、投資環境や保有状況によって適切に調整を行うことができます。
例えば自分の銘柄がグロース銘柄に特化していて、これからリセッション入りする可能性が高い場合、保有銘柄を売却してポジション調整をしたり、キャッシュ比率を厚めにするなどの対応を取ることができます。
ちなみに、どういう局面でどのようなスタイルが適切なのかは過去の傾向からある程度推測することができます。
ポートフォリオ分析の基本
このブログでは金融資産、特に株式を中心に評価することになりますので個別銘柄の要因を最初に把握しておく必要があります。
個別銘柄の中にはその銘柄を選んだことによる要因と、選んだ後のポジションを取ったことによる(その銘柄をいくら買うかという意思決定による)要因に分けられます。
また、取引をすると税金や証券会社に払う手数料もかかります。
さらに取引した時の値段が適正だったかを評価する必要があります。
例えば、その日の終値よりも割高で買ってしまった場合、ポートフォリオ全体にとってはマイナスの要因となります。
取引にかかるパフォーマンスの影響では税金や手数料などの要因を明示コスト、取引価格による要因を暗示的コストと呼ばれます。
外国の資産を取引する際、資金管理を他国通貨で行う場合には為替による資産価値の変動も考慮しておく必要があります。
取引した際の為に発生する為替差損益は暗示的コストに含まれますが、私の場合は将来的にドル資産として保有していく予定ですので、参考程度に記載しておき、ドルベースでの評価をしています。
暗示的コストには、大きな資産を有する機関投資家のように、自らが売買したことによる流動性の変化に伴うコストも把握する必要があります。
例えば普段から500万円しか売買されていない銘柄を1億買うことになれば価格は釣り上がってしまうので、取引する際に高い値段で取引せざるを得ません。
こうした場合には前日の値段を基準に自らの取引量と市場の取引量の比率を考慮して計算する必要がありますが、余程の流動性が低い銘柄でもなければ、個人取引の場合影響は軽微なので無視しても良いでしょう。
個別銘柄をどのように評価すべきか
さらっと、個別銘柄の要因を評価すると書きましたが、実際に評価する方法は様々です。
私の場合は基本的にはニューヨーク市場で取引されている銘柄を中心に売買しておりますので、そのメジャー指数であるS&P500に対して比較します。
すなわち、保有資産全額を仮にS&P500として持っていたとするなら、その状態に対してどれだけ経済合理的だったのかの評価となります。
もちろん、全額キャッシュで保有していた場合に対する評価でも構いませんが、少なくとも経済学的には市場インデックスが統計的に合理的であるとされていることから自らのポジションがインデックスに対してどれだけ買ったか負けたかを評価することは重要です。
もしキャッシュを保有していた場合に対する評価をしたい場合には市場インデックスのパフォーマンスを各要因から差し引けば良いだけです。
マーケットに対する要因を個別銘柄として表現する場合、さらに踏み込むならその要因がなぜ生じたのかを把握することもできます。
例えば保有している銘柄に業種の偏りがどれだけあるのか、時価総額の大きな銘柄や小さな銘柄に偏りがどれだけあるのかなどです。
定量的にポートフォリオの偏りを分析するためのものなので、こうした分析手法そのものに偏りがあってはなりません。
そのため、こうした分析手法は様々な手法が提案されていますがある程度、統計的に確立されています。
こうした手法の中にはファクターモデルと呼ばれるものがあり、代表例としては個別銘柄の要因を割安、サイズ、市場感応度(ベータ)という3つの指標で評価するものになります。
ファクターに基づく分析によって、気づかないうちに特定のリスクを負っていないか把握することができますし、保有資産がどんな影響で増えているのか減っているのか説明がしやすくなります。
さらにこうしたリスクファクターを知っておくことにより、市場に対して攻めのポートフォリオにしたり、逆に守りを固めることもできます。
なぜならファクターモデルは相場の特性を把握することもできるからです。
例えば、PBRの大きな銘柄優位のグロース相場やその逆のバリュー相場、小型株効果の強い時期などその時々によって相場の特性は循環的に変化するため、市場の特性を掴んでポートフォリオを柔軟に変化させることもできるようになります。
ここまで分析の視点や手法について説明してきましたが、注意しなければならないのは分析そのものはあくまで過去の傾向を踏まえてその理由を説明するためものなので、分析手法によって将来リターンを保証するものでは決してありません。
あくまで将来の市場変動に対して戦略を取るためのエビデンスに過ぎないのです。
次回、私のポートフォリオで具体的な事例を踏まえてご紹介できればと思います。
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パウエル五郎

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