あなたは知っている?単純に銘柄比較してはいけないPERとEPSの使い方

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株式分析をする上で避けて通れないのは企業の収益力や財務状況を確認することです。

こうした分析をファンダメンタル分析といい、ここでは市場関係者がよく分析するファンダメンタル分析の方法について解説していきます。

ファンダメンタルズ分析の代表格

株価を分析する方法にはファンダメンタルズ分析と、テクニカル分析の2つが有名ですが、ファンダメンタルズ分析の中でもよく使われるものに、PBR、PER、EPS、BPS、ROA、ROEなどの指標を用いた方法があります。

これらの指標はそれぞれ資産や利益に注目し、今の株価が割高か割安かを判断する際に使用されます。

証券会社のトレーディングツール内の情報にも必ずこれらの指標が表示されています。

今回はこの中のPERとEPSの解説をしていきます。

■EPSとは

EPSとは日本語では「一株当たり純利益」と言い、Earning Per Sharesの略です。

これはその企業の株式1株に対して、いったいその企業がいくら利益を上げているかを表した数値です。計算方法は以下の通りです。

ここでの利益には純利益を使いますが、特別損益が発生したりその他一過性の要因で純利益がブレてしまう場合は経常利益を使う場合もあります。

EPS(1株当たり純利益)=純利益÷発行済み株式数

つまりEPSは企業の純利益を発行済み株数で割ると出てくる数値なのです。

もっとわかりやすく、具体例を出して考えてみましょう。

【株式会社A社】

純利益・・・・・・1億円

発行済み株式数・・1千万枚

株価・・・・・・・100円

【株式会社B社】

純利益・・・・・・1億円

発行済み株式数・・10万枚

株価・・・・・・・10000円

このA社とB社の場合、先ほどのEPSの公式に当てはめると、以下の通りになります。

【A社EPS】

1億円÷1千万枚=10円

【B社EPS】

1億円÷10万枚=1,000円

このように純利益の額は等しい2社ですが、A社EPSは10円、B社EPSは1,000円というように1株に対してその企業の利益のうちのどれくらい価値があるのか計算により導き出されました。

この2社のEPS(一株当たり純利益)は、A社の10円とB社の1,000円いったいどちらが投資対象として優れているのでしょうか。

数字の大きさだけを比較した場合、A社は一株当たり10円の純利益があるのに対し、B社は一株当たり1,000円の純利益があります。

これだけで比較するとB社が優れている様に見えますが、実際には株価を考慮していないEPSだけでは比較できません。

そこで、出てくる指標がPERという指標です。

PERとは

PERとは日本語で株価収益率と呼ばれ、Price Earning Ratioの略称です。

このPERは先ほど株価の評価軸がないと解説したEPS(一株当たり純利益)に株価の概念を導入して算出されます。

計算方法は以下の通りです。

PER=株価÷EPS

この計算式によればPERは株価がEPSの何倍まで買われているかを表します。

つまり、株価が純利益に対して、どれだけ大きいかという倍率を表していることになります。

その為、先ほどのEPSと違い、他の株とも比較がしやすくなっています。

実際に先ほどのA社、B社のPERを計算してみます。

【株式会社A社】

純利益・・・・・・1億円

発行済み株式数・・1千万枚

株価・・・・・・・100円

EPS ・・・・・・・10円

【株式会社B社】

純利益・・・・・・1億円

発行済み株式数・・10万枚

株価・・・・・・・10,000円

EPS ・・・・・・・1,000円

【A社PER】

100円÷10円=10倍

【B社PER】

10,000円÷1,000円=10倍

計算の結果A社、B社の両社ともPERは10倍ということが判明しました。

つまり、A社、B社の両社ともEPSに差があっても、株価に対する純利益の割合は全く同じということです。

その為、A社、B社の現在の株価水準と純利益だけを考えた場合、投資対象としては優劣が全くない状態であるということがわかります。

EPSとPERの違い

前述の通り、EPSは「一株当たり純利益」を表しますが、こちらは一株がいくらかによって、その数値の評価も変わってきます。

その為、他の企業との比較はEPSだけでは困難です。

一方のPERは「株価収益率」を表し、こちらは株価が違う企業でも、EPSが違う企業でも同様の条件で比較が可能です。

つまり、単に一企業の一株当たりの純利益を参考にする場合にはEPSを活用し、複数の企業と株価に対する収益率を比べる場合にはPERを利用します。

EPS・PERの活用方法

EPSは一目で一株当たりの純利益を理解できるというメリットがありますが、それ以外にも活用方法があります。

それは毎年のEPSの推移に注目する方法です。

EPSが年々増加しているような企業は、毎年増収増益で成長している企業であるか、又は株主への利益貢献を積極的に行っている会社と判断することが可能です。

そして、EPSを活用して算出されるPERにも様々な活用方法があります。

実は日本取引所グループ等の証券取引所運営会社が毎月各業種別の平均PERを発表しています。

東証1部、東証2部、マザーズといったようにそれぞれの市場ごとに分けてPERが発表されているので、気になる銘柄のPERが分かれば、それぞれの市場の業種別の平均PERと比較が可能です。

比較した結果、業種別の平均のPERより企業のPERが低ければ株価は割安、高ければ株価は割高と判断することが可能です。

又、同じような業種の別会社と比較することで、株価の割安、割高が分かる場合もあります。

例えば、docomoやKDDI、ソフトバンク等、同じような業種の企業同士のPERを比べた場合、それぞれの企業の株価が相対的に割安か、割高かを判断する参考になります。

PERの注意点

PERの注意点として、必ずしもPERが低ければ低いほど割安であるとは限りません。

確かに株価に対しての純利益の割合でいえば割安であるといえますが、それだけで判断するのは早計です。

実際に成長著しい株式等は人気があるため、EPSに比べて株価も上がり、PERも高くなりがちです。

特にIT系の企業はPERが大きくなる傾向がありますので注意が必要です。

これは一度開発をしてしまえば、運用や保守に関する人件費が他の業種に比べて少ないIT企業は相対的に大きな利益を出せると考えられているため、株価が高くなる傾向があるためです。

しかし一方で成長性が乏しい会社は人気が無く、株価も低くなりがちな場合もあり、PERは低い場合が多々あります。

PERは高いが、これから期待が出来る成長著しい企業の株と、PERは低いがこれからの成長があまり期待できない株、本当に割安なのはどちらで割高なのはどちらかをPERだけでなく、業種特性など広い視野で見極めなければなりません。

まとめ

EPSやPERは投資家の間で広く活用されている指標の一つです。

EPS、PERの意味を理解し、なぜ割安なのか、なぜ割高なのかをしっかりと理解することが出来れば、EPS、PERは今後の投資において大いに役に立つ指標となってくれると思われます。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。

コメント

  1. […] ファンダメンタルズ分析とは、企業の財務諸表を基に株価が割高か割安かを判断します。 […]