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仮想通貨流出事故の悪夢、再び。。
2018年9月20日の朝、大きなニュースが飛び込んできました。
Zaifを運営するテックビューロがハッカーによる不正アクセスで顧客資産45億円を含む67億円が流出したという内容です。
仮想通貨の不正アクセスとそれにもとなう資金流出は今年2018年1月のコインチェック(580億円流出)などが思い出されますが、その後、金融庁の厳しい規制が入り、監視体制が強まりました。
テックビューロも例外ではなく、その後の3月と6月にも業務改善命令を受けていました。
流出時、コインチェックはネットの環境につながるホットウォレットで仮想通貨を管理していたことが資金流出の原因につながったこともわかっており、大きな話題となりました。
しかし、今回のテックビューロもなんとホットウォレットで管理していたビットコインとビットコインキャッシュ、モナコインの3種類が流出したとのことです。
流出後、テックビューロは現在までに入出金を停止しています。
仮想通貨は一段安へ、加熱ブームも沈静化
流出事故のニュースを見て、またか、、と思われた方は多いと思います。
すでに仮想通貨のバブルは終焉を迎え、多額の評価損をかかえたゾンビのような投資家と安値付近で小さく買ったり売ったりする投資家ばかりになっています。
今年1月のコインチェック暴落前の220万円以上だった価格から現在は80万円弱と65%以上の下落です。
仮想通貨を決済の手段としたり、コストの安い送金手段とする用途は草の根のように広がり、メガバンクや大手企業も各社独自の通貨を作ったり、仮想通貨に関する新規ビジネスを始めたりと浸透は徐々に進んできてはいるものの、投資対象としての価値は大きく目減りしました。
中央集権的な管理下にある既存通貨に対し、そのオルタナティブとして台頭した仮想通貨が管理者不在であるがゆえに巨額の投機マネーの流入を許してしまい、ボラティリティが大きくなった結果、逆に投資性が薄れてしまったことは大いに皮肉的ですが、取引所に対する安心感が揺らぎ、資産価値の保全性に対する仮想通貨の信頼が損なわれてしまったことは、人類や資本主義の進化にとって大きな損失だと思っています。
結局、仮想通貨で儲かったのは誰か
仮想通貨では最初に売り抜けた少数の投資家を除いて、早い時期に参入した投資家の大部分は大きく損していると思います。
早くに参入した投資家に加え、取引所もこうした事件によって損失補填をしたり、それによる訴訟コストがかさんでいます。
さらにビットコインをマイニングしている人も、参入者が多くなるに従い、損益が釣り合わなくなり、大規模な設備投資を回収することがむずかしくなっています。
このようにビットコインでは一部の高値で売り抜けた投資家を除いて大部分の投資家や取引所、マイナーが損している状況です。
投資の世界は短期的に見るとゼロサムゲームなので誰か損した分、誰かが儲かっているのです。
その儲かっているのがマイナーが使う機械(マイニングマシン)を販売する業者です。
今では沈静化しましたが、少し前までは150万円近くもするマイニングマシンが飛ぶように売れていて、中東などの電力コストの低い地域で何千台のマイニングマシンを整然と並べて一気にマイニングするという光景は圧巻でした。
マイニングとは
マイニングはブロックチェーンという取引を記録するためのデータを正しく保つための計算をすることです。
この計算を行うことで、ビットコインの取引は正しいことが証明されて、特定の誰かが帳簿などで管理する必要がなくなります。
このように取引の記録を正しく保つために複雑な計算(プルーフ・オブ・ワーク)をすることで、その対価として少量のビットコインが得られます。
マイナーはこの対価を得るためにマイニングすることより、ビットコインの分散管理に貢献しているのです。
こうしたマイニングは当初個人所有のパソコンでもできましたが、ビットコインの流通量が増えるに従って、計算の複雑さが増しており、現在ではマイニング計算専用の基盤を内蔵したコンピュータ(マイニングマシン)が必要になっています。
このマイニング計算専用の基盤で重要な部品がGPUやASICと呼ばれる計算専用のチップです。
このチップを販売しているのがAMD社やエヌビディア社です。
このうち、エヌビディア社(ticker:NVDA)はNASDAQに上場しています。
結局儲かるのはつるはしを売る人
おしなべて、仮想通貨に限らず、ある種のブームによって一時的に流行った出来事や物があったとして、手っ取り早く儲けるのはそのブームに乗った後、すぐにやめるのが一番コスパが良いと思います。
今回の例でいうと仮想通貨の値段が爆騰する中で、欲をかかずに一定の利益だけ稼いで早々に退出する戦略が最も利益率が高かったと思います。
また最初のコスパは低いけれども長く大きく稼げるのは、ブームの中で熱狂した参加者にツールを提供する仕事です。
これはつるはしビジネスとも呼ばれますが、昔アメリカでゴールドラッシュで金の発掘場所付近でつるはしを売っていた業者が採掘業者や土地の権利者よりも儲かったという実話に基づきます。
今回の例でいうとつるはしはマイニングマシンで、AMD社やエヌビディア社が唯一儲かったと思います。
一番大きなマイニングマシンを販売しているグループが中国のビットメイン社という組織です。
ビットメイン社は創業4年目であるにも関わらず、2017年の一年間だけで総営業利益は最大4,300億円とも言われています。
13年に呉忌寒(ウー・ジーハン)氏とマイクリー・ジャン氏によって創設されたビットメインは、ビットコイン(BTC)をマイニングするための特定用途向け集積回路(ASIC)カードを使い、ASIC駆動のビットコインマイニングリグであるアントマイナーを販売。さらに仮想通貨マイナーがリソースを共有し報酬を分割するシステムである「マイニングプール」も運営している。
このいわゆる、つるはしビジネスは洋の東西、今も昔も歴史を問わず、どの時代でもどこでも成り立つ考え方です。
例えば、政府が副業解禁と声高に宣言すると、副業として物やサービスを販売する人になるのではなく、それを支援するプラットフォームになるべきです。
例えば、mercari, base, shopify, stores, crowdworks…などがこれに当てはまります。
または彼らを支えるサーバー会社(アマゾンのAWS、決済サービスも手がけるGMOなども該当します。
そういえば、DMMもマイニング事業をスタートさせましたが、今後の値動きが気になります。
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パウエル五郎

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