日銀による金融政策の目標は物価上昇率を2%にすることです。
これは日銀法により、日本銀行の金融政策の理念は「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」と定義されているためです。
ながらく日銀はこの目標に対してイールドカーブコントロールやマネタリーベースの拡大、ETFなどの金融資産買付という対策を講じてきましたが、現在も日銀が重視しているコアCPI指数は1%を大きく下回っています。
来年2019年の10月の消費税増税に伴う便乗値上げなどで一時的に上昇する可能性はありますが、長年デフレが続いていた日本で将来的に物価が上昇するイメージが湧きません。
物価上昇率が目標に達しないのは財政問題が起因か
人口が減少する中で国内外から国内への事業投資がシュリンクしていることが原因として挙げられます。
この背景にあるのは消費の中心的存在である、30代の消費意欲が低下していることだと思っています。
この世代はこれまでの通説では、家庭を持って新車を購入し、出産や子育て、教育資金などで多額の出費を伴います。
たまたまですが本日、前日銀総裁の白川氏が、
・日本経済が低迷している根本的な原因は、急速な高齢化や少子化に経済と社会が適合し切れていないこと
・消費者物価上昇率2%という目標は経済改革が前提である旨、政府と合意している
・非伝統的な金融政策によって問題は一定の改善が見込めるが、根本的解決には至らない
と述べているように、最もクリティカルなのは少子高齢化です。
国会議員からも女性が子供を産まないのが原因だという発言は多少乱暴ですが、高齢者を優遇して若者を犠牲にするシルバー民主主義の下では、社会保障費の低下は見込めず、年金や保険負担の問題はどんどん先送りになっているため、財政不安も消えません。
20~30代の若者が子どもを生まないことが悪いという意見はある意味正しいと思っていますが、安心して子供が産みたくなる制度も必要かなと思っています。
安心して子どもを育てられる環境がなければ少子化の波は食い止めることはできません。
ただ、同じ日本国民の中で誰かや制度が悪いという議論は不毛だなと思っていて、国を繁栄させる上で長期的にどのように人口問題を解決すべきかの議論は必要だと思っています。
まあ、ご高齢世代に近い国会議員は長期的に国がどうなろうが知ったことではないのかもしれませんが、、
国会での議論のあり方をどうこう言うのも建設的ではないし、それについては選挙を通じて改善するしかないのですが、、いずれにしても現状では具体的な解決策は後回しになっています。
急激に進む超高齢化社会
ここで言いたいのは現実を悲観すべきということではなく、我々投資家という視点ではこうした事実は将来の投資戦略を練る上で一つのヒントになるということです。
下の図は高齢者人口の対前年増加数の推移です。
70年前、65歳以上の比率は5%程度しかいませんでしたが、現在は80万人の30%に迫る勢いです。
また下の図は年齢区分別将来人口推計です。
2065年には人口は9000万人を割り込み、さらに4人に1人が75歳以上の高齢者という超高齢者社会になります。
グラフを見ると分かりますが、国民の約半分が60歳以上です。
こうした高齢者の年金や社会保障費を支えているのは現役世代なのですが、終身雇用も先行序列もとっくに崩れている現役世代にとって、先行きが見通せずますます経済的困窮が進みます。
おそらく、年収500万円の世帯では子供一人育てるのでさえ赤字になる可能性があるのですが、現在の国民の平均年収420万円では半分以上の国民が子ども一人すら育てることが難しいと言わざるを得ません。
投資家の取るべき行動
こうした状況下では、金融緩和が長引く公算が高いです。
そのため、これからローンを借りる方は変動金利で良いかもしれません。
また投資家にとっては、財政悪化が懸念されなければ金利は欧米に対して低いままなので、長期的には円安ドル高が続くと考えているので継続して外株、特に経済成長が続くアメリカの株を買っていくことで為替の恩恵と経済成長の恩恵を享受できると考えています。
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パウエル五郎

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