8月7日の株式市場は米中貿易摩擦の影響もあり、大荒れの様相となりました。
そんな中、管理人のポートフォリオに組み入れられているAT&Tは一時、2%近い下げ幅となりましたが、今後の値動きを判断する上で先日発表された決算内容を確認しておきます。
AT&Tは過去安定した配当利回りを実現してきたこともあって、多額の株主還元を行ってきました。
先週発表された第2四半期決算によると、年間の営業キャッシュフローは102億ドルから40.2%上昇して143億ドルとなりました。
通信網を維持するための設備投資が必要になるので、こうした設備の耐用年数を伸ばすための資本的経費は前年同期比で7.1%増加して55億ドルになりました。
フリーキャッシュフローは51億ドルから88億ドルに増加した結果、2019年のガイダンス(会社予想計画)の260億ドルから280億ドルに上方修正した一方、資本的経費は230億ドルと据え置きました。
同社の四半期配当金は前年同期比で2%上昇した0.51ドル、年間配当金額は2.04ドルとなっています。
この増配により、2018年第2四半期は31億ドルの配当総額だったのに対し、当四半期は37億ドルになりました。
その結果、現在の株価に対する配当利回りは6%を超えてアメリカの通信業界の中では最も高い水準(VZは4.4%、Tモバイルとスプリントは無配当)なので、高配当投資をするなら比較的投資効率の高い銘柄と言えます。
一方で、2019年6月末における借入総額(未払債権、買掛金など)は1,706億ドルとなっている点は懸念事項です。
これは主に2018年にタイムワーナーの買収費用850億ドルのため、1,080億ドルの借り入れを行なったことによるものです。
総資産5,649億ドルの企業で一社の買収で1,080億ドルもの有利子負債があるのは驚きですが、タイムワーナーはCNNやHBOなどの人気コンテンツを保有していることから収益力を向上するために必要な買収のための借入です。
CNNは世界的なニュースメディアですが、HBOも泣けず劣らずNetflixやAmazon primeなどに映像提供するコンテンツ力のある会社です。
足元の3ヶ月間でこのうち負債額のうち68億ドルの返済を行っており、年末までには1,500億ドルにまで圧縮すると話しています。
調整済みEPSは予想通り0.89ドルと前年同期の0.91ドルより2.2%ほど安いです。
タイムワーナーの収益寄与もあり、営業利益はアナリスト予想の449億ドルから450億ドルと上方修正されました。
配当利回りが6%とダントツに大きく、株価も堅調なため、多くの投資家からすると魅力的です。
一方で、タイムワーナーの買収で痛んでいるバランスシートにおける負債額は金利の支払いコストが高く付くため早めに返金する必要があります。
投資判断におけるデメリットとしては、借入金額が大きなことにより、アメリカの金利が上昇した時に大きなコストを払う可能性があります。
しかし、金利の支払い額以上に成長率が高く、今後さらなるコンテンツ制作にかかっていくことから魅力は変わりません
そのため、懸念する投資家はいるものの、景気低迷期における配当利回りの高い銘柄が人気になることから、現在のような安いタイミングは押し目買いのチャンスをと捉えるべきです。
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パウエル五郎

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