これからも米国が勝ち続ける理由
10年前のリーマンショックの後、長いこと堅調だった米国経済は10月の節目で大きな調整が入り、シュンペーターの10年サイクル説を踏襲する形となりました。
今回調整が入ったことで、これまでのアメリカ経済一強体制に変化が訪れると考える人もいるかもしれません。
ただ、管理人は引き続きアメリカが長期的にも世界経済のけん引役になることは変わらないと見ています。
アメリカ中心の経済発展が進む
アメリカの経済発展は戦時中に敷かれたブレトン・ウッズ体制と戦後のプラダ合意によってそれまで普遍的な価値の象徴であった金(Gold)から基軸通貨ドルを中心とする世界経済が確立されました。
しかし、近年の中国に代表されるようにアメリカ以外の第三国が世界経済の主役になるという主張もあります。
確かに中国は1990年代から始まった改革開放が功を奏し、広大な国土と人口を背景に目覚しい発展を遂げて世界第2位の経済大国にのしあがりました。
アリババやバイドゥなど中国発の世界的な企業が時価総額トップ10に入り、深センなどに世界的なテックリード企業が集結するなど影響力を増してきています。
一方で中国経済には様々な構造的問題があり、都心部の物価が極端に高く、所得面でも経済格差が露呈するなど問題もあります。
中国企業の致命的問題
もっとも致命的なのは民間企業のファイナンスの問題です。
中国の銀行は貸出先の与信審査能力に乏しく、基本的に国有企業にしか貸すことは滅多にありません。
民間銀行は銀行からの借り入れが難しいため、国有企業が数%程度で借りた金を十数%の利子で借りるという現状もあります。
いわゆるシャドーバンキング問題ですね。
ここ数年で当局の取り締まりも厳しくなって影を潜めていますが、現実問題として根本的にファイナンスの問題が解決したとは言えない状況です。
10月7日に中国人民銀行が預金準備率を1%下げたものの、焼け石に水です。
これは金融問題の解決ではなく、どちらかというと元安誘導によって対米輸出拡大策のように捉えられかねず、トランプ大統領のさらなる関税制裁を誘発しかねません。
こうした米中問題に昨日閉幕したG20でも当事国同士の解決しか道はないと、介入する意思を示していないことから対話が必要なところ、一切その糸口が見えておらず、にらみ合いは長期化する様相を呈しています。
貿易戦争が長期化すれば、打撃を受けるのは広東省や浙江省などの南部の製造業であり、中国経済の主力企業です。
まさに中国経済の未来がトランプ大統領に握られている構図となっており、こうしたことからも今後も米国の覇権は10~20年は続くものと思われる。
注意しておくべき米国リスク
一方で短期的には米国にも様々なリスクがあり、諸手を挙げて喜べない現状があります。
短期的なリスクとしては金利上昇です。
もちろん失業率が低下、賃金が上昇するプロセスにおいて経済が活性化した結果、金利が上昇した部分もありますが、短期的な金利上昇は別の側面もあります。
実はオバマ政権時代から既に最高の好景気と言われており、そこにトランプ大統領が本来不況期に実施すべきレベルの減税や財政政策が加わったことで加熱している現状ですが、ここにきて問題視されているのが財政赤字の問題です。
そのため、全力で買いに行くというよりは、余力を残しながらディフェンシブ銘柄を買っていくというのが正しい方法です。
具体的にはAT&TやVTなどのインフラやJNJやPGなどのヘルスケアなどです。
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パウエル五郎

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