先日の衆院選後、安倍晋三氏は今年10月に消費税を10%に増税した後、今後10年間は消費税を上げるつもりはないはずと述べました。
そもそも消費税増税は日本の税収よりも歳出(出費)の方が多いことによる、国家財政の赤字解消を目指すためのものであり、当然歳入(税収)と歳出の関係が今より悪化すれば更なる増税の可能性は残されています。
むしろ、労働人口が今後数十年に渡って減少していく中で日本経済の規模が縮小するのは当然で、経済規模縮小は歳入出の悪化を示唆していること明確です。
さて、この歳入出(大雑把にいうとプライマリーバランス、PB)が改善して黒字化すると、この状態はその年の政府の経費が税収によって賄われることを意味しています。
逆にいうとPBが赤字であるとは政府の経費が税収でまかなえておらず、債務を発行し続けていることを意味しており、これが進めば将来的に国家財政の破綻もしくは、円の信任が低下することを意味しています。
過去にアルゼンチンやギリシャが同様の事態になった際は増税と歳出削減で乗り切ることができましたが、その後の経済の低迷と国民への負担増は計り知れないものとなっています。
アルゼンチンの場合、政府の債務はGDPの77%にまで達し、現地通貨ペソの価値は現在に至るまで10分の1になっています。
日本の場合は対外債権が非常に多く、PBの赤字拡大が直ちにアルゼンチンのような事態になるとは限らない一方、赤字の解消が進まなければ同様の事態にならないとは言い切れません。
そのため、将来的に消費税が増税されないと明言することはできず、実際、安倍首相は冒頭の通り10年間は消費税増税は必要ないといいつつも、首相退任後は更なる消費税増税が必要かどうか誰も明言することはできない、とあやふやな回答で含みをもたせました。
つまり、今は増税するつもりはないけど、将来必要があれば更なる増税をする可能性があるということなのです。
管理人は消費税増税が悪いとは思いませんが、税収減の根本原因である労働人口の減少をどのように改善するのかの議論がされないまま、税率だけを上げてもいたちごっことなるため、経済は疲弊し、消費を上がらず、結果として国の経済の低迷や財政悪化が円の信任を低下させる事態となります。
こうした状況で日本株などの円建ての資産に集中投資することはソブリンリスクを負うことになるため推奨されません。
日本同様、新興国や途上国、中国をはじめとしたアジア、ヨーロッパが失速する中、アメリカだけが好調なため、投資家は長期的に資産をドルに転換すべきなのです。
↓ポチっと押して頂けるととても喜びます。
この記事を読んだ人は以下も読んでいます...

パウエル五郎

最新記事 by パウエル五郎 (全て見る)
- 【ポストコロナの世界】様々な民主化の流れが加速する - 2020年4月25日
- コロナを受け保有銘柄の入れ替えを行う - 2020年4月23日
- コロナを受けてポートフォリオ戦略を変更する! - 2020年4月22日