仕手筋とアセキュラ株

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仕手筋と仕手株

そもそも株式とは株式会社の資金調達の手段として発行されるものであり、
マーケットで売買されるのはその価格がその会社の成長を見込んだ収益予想に基づいて値付けされているはずです。
ただし収益予想に基づいているが故に、すべての投資家による株価の予想値にばらつきが生じているためにマーケットではしばし株価が大きく上下動し、まるで企業実態とは異なった動きをすることがあります。

こうした値動きに目をつけて実態とは関係なく、マネーゲームのように株価をコントロールして相場を操って利益を得る投資家もいます。

こうした投資家の事を仕手筋と呼び、仕手筋によって目をつけられた銘柄を仕手株と呼びます。
基本的には株価の値付けは板と呼ばれる注文ベースで行われていて1日に何百万人もの投資家が売買に携わることに加え、仕手筋はコントロールしようとする銘柄を少しずつわからないように買い付けるので摘発することが難しいです。

2016年アセキュラ株(4589)をめぐる仕手筋の手口

アセキュラ株について

ドライ型加齢黄斑変性症の新薬候補「エミクススタト塩酸塩」を開発していたアセキュラ株は2015年末頃から株価が上昇し始め、半年間で株価が12倍以上になりましたが、その後、新薬開発の失敗の発表と同時に急落して連日のストップ安となりました。

急騰後に急落した株価の値動きは行き過ぎたものだという見方が強く、その背景には仕手筋が動いていたといわれています。

http://ryokubota.jp/home/2015/9/26

以下、アセキュラ株(4589)の2015年末から2016年6月の値動きを例に仕手筋の手口を見ていきます。

仕込み

まず最初に仕手筋は市場で自分が買っていることをわからないように、仕込みと呼ばれる長い時間をかけて少しずつ市場での株の買い付けを行います。

アセキュラの場合、2015年後半に加齢黄斑変性という目の病に対する治療薬の公表から急騰急落も繰り返しつつも徐々に株価上昇をしながら以下のグラフのように600円から800円で推移しています。

この期間に仕手筋が自分の持ち高を増やす仕込みが行われていたと思われます。

アセキュラ_仕込み

冷やし玉と吊り上げ

次に仕込みをしながら徐々に株価を吊り上げるように短期間で買い注文を強めていくのですが、急激な株価上昇は行き過ぎた急騰銘柄として目立ってしまい、利益確定の売りを誘ってしまいます。

これを防ぐために仕手筋は冷やし玉と言われる散発的な売りで株価を一定に抑えながらも、徐々に株価を上昇させる吊り上げというテクニックを行います。

吊り上げと冷やし玉

アセキュラの場合2回にわたって大きな冷やし玉が使われています。最終的には4,000円ほどで落ち着いています。

提灯買い

株価が順調に上がって落ち着いたところで更に株価を上げるため、仕手筋は最終段階として提灯買いと言われる行動に移ります。

提灯買いとは短期的に儲けようとする短期筋の投資家に買ってもらうため、まだまだ上がる!今注目の銘柄!という情報を流し、さらに上がることを匂わせます。

インターネットが発達した現在、こうした情報は拡散が容易でtwitter、2ちゃんねるなどの各種掲示板をフルに活用して情報拡散を行います。

これがアセキュラの場合、下の図にあるように5月中旬に行われたのですが、僅か数日間でそれまでの半年間と同じくらいの値上がりを見せ、最終的には8,000円くらいまで約4,000円近く値上がりしました。

冷やし玉と買い上がり

振るい落とし

提灯買いが行われたらあとの行動は早いです。

大幅に値上がりし、企業の実態とは懸け離れた動きを見せた頃、一般の投資家の提灯買いに対して仕手筋はそれまでの売買では考えられないくらいの空売りとともに保有分全て売り注文を浴びせかけます。

短期筋の儲けてやろうという心情に漬け込んで買われた瞬間に売り仕掛けをされると市場は疑心暗鬼となり、次の瞬間には売りが売りを呼ぶ展開となり、市場は大暴落します。

これが振るい落としと呼ばれる仕手筋の最終段階となります。

大暴落局面では投資家はどこまで下がるのかわからないため、数日間売買ができないほど売りが続きます。

実は売りがしばらく続くようであれば仕手筋は規制が入るまで保有分を上回る更なる空売りも繰り返します。

振るい落としによる下落

アセキュラの場合は売りが入った瞬間から一週間ほどかけてストップ安が続き、最終的には7,000円台後半から10分の1の835円まで下がりました。

以上が仕手筋の手の内ですが、個人投資家としてはどのように対応したら良いのでしょうか。

仕手筋だけじゃない!相場操縦する投資家

実はこうした株価を操作するようなことは多かれ少なかれ他の投資家もやっているところはあります。

潤沢な資金を有している外資系の大手証券会社などは政府と密接な関係を持っていて、マーケットに大きな影響を与えるような、政府による政策発表がなされる前にポジションを仕込んでいるのではないかとささやかれていた時期がありました。

これについては別で解説したいと思います。

また、年金基金や受託財産を扱っている国内の銀行や証券会社についても同様です。

彼らは明らさまな相場操縦については社内でも厳格に禁止されているのですが、実際には1社で十兆円ほどの膨大な資産を有している年金ファンドなどは特に資金管理の都合上、意図的ではないにしろ定期的に株価を吊り上げたり、下落させてしまうことがあります。

こうした上昇が約束されているような局面でファンドの資産の入れ替え(アロケーション)をぶつけることで、実態よりも資産価値が高くなるように見せるという方法も使われています。

お化粧買いというよく使われる言葉もあって、証券会社などは月中に入ったお金を使って月末に現物の買いを集中させることで株価吊り上げを行い、保有資産の月次騰落率をよりよく見せるという慣習もあります。

個人投資家としての闘い方

一言で言えば、こうした銘柄に手を出さない、仕手株には便乗しないというのが賢明です。

値上がりはいつまでも続きませんし、バブルが崩壊した後は後の祭りとなることが多いです。

仕手株の急騰はチキンレースのようなもので、例え上昇局面で買ってたまたま高値で売り抜けることができたとしても、再現性はないので次に活かせるということはありません。

手を出さない、これに尽きます。

幸いなことに仕手株は市場でチェックされています。

こうした銘柄を常にモニタリングし、株価が順調に値上がりしている銘柄を自分が買おうと思っても、仕手株ではないことを確認しておきましょう。

仕手系銘柄一覧

また機関投資家の売買については相場操縦というよりは特定のパターンがあります。

こうした機関投資家のグレーな相場操縦については内外監査の対象となるため、明らかにせざるをえない時に実施されている傾向があるので、そういう意味では個人投資家としては予測しやすく、逆に利益を上げるチャンスとなります。

この機関投資家の値動きを利用した個人投資家の利益確定施策については別のページで解説する予定です。

インサイダーの疑い

アセキュラの話に戻すとこの銘柄の場合、仕手筋の思惑通りに最初の値上がり起きた背景には黄斑治療という新薬開発への期待がありました。

しかし、実際には2016年5月まで半年かけて順調に値上がりしていた株価が突如下落に転じたのはこの新薬の開発失敗発表をきっかけに同時期に売り注文が大幅に入りました。

おそらくですが、仕手筋が入っていなければこの公表だけでは相場の大幅な下落も起きていなかったと思います。当然ですが、半年間でここまで大幅に上昇するということも起こりえなかったと思います。

仕手筋がこうした事業計画の失敗という事実を知っていたとしたらアセキュラ社と仕手筋が結託して新薬失敗というインサイダー情報を事前に知りながら株価を吊り上げておいて、公表前に売り抜けた可能性もあります。

事実がどうであれ、ここまで極端な値動きになる事例は珍しいのでもしかしたら金融庁の調査が入るかもしれません。

また動きがあればここで報告します!

まとめ

仕手筋として株について具体的な例とともにその手法を解説しました。

結論としては、膨大な資産を持つ仕手筋に個人投資家が勝てるわけがないので仕手株には手を出さないことをお勧めします。

同時に、仕手株についてもモニタリングしておくことをお勧めします。

万が一、うっかり手を出してしまったら損になる前に薄くても良いので早々に利益確定、もしくは損切りしましょう。

アセキュラについても動きがあればここで解説します!

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。

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