上場とは

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株式市場

株式市場では様々な人間が関わり、得する人、損する人がいます。

市場で企業の株式が売買できるようになることを上場するといいますが、

ここでは主に投資家という観点からこの上場について解説します。

上場とは

企業が発行した株が株式市場で取引されるようになることを上場するといいますが、

上場した企業のことを上場企業と呼ばれます。

上場企業とはこの上場している企業というだたそれだけのことなのに、世間では上場という言葉がついてるだけで安全、安心の象徴と捉えられることがあります。

よくこんなキャッチコピーを掲げている一部上上場企業がありますよね。

安心の上場企業

ところで、この東証一部上場企業の何が安心なのでしょうか。

上場企業だから安心と言われている背景の一つには上場するための審査=上場審査があるからだと言われています。

上場審査

上場するには幾つかの審査を経る必要があります。

日本取引所グループの東証には、マザーズ、2部、1部という3つの株式市場があり、

それぞれの市場に上場するための審査要件の難易度が異なります。

その審査には大きく分けて証券会社審査と取引所審査の二種類に分けられます。

証券会社審査

上場するための最初の難関は証券会社の審査です。

資料提出からヒアリングを含む中間審査を約数か月かけて実施し、最後に改善事項などを指摘されます。

中間審査(事前審査)

証券会社中間上場審査

次に業績データや確認、ヒアリング、経営者や監査役、会計士の面談を経て最終的な合否判断を1か月ほどかけて実施します。

最終審査

証券会社上場最終審査

取引所審査

各取引所には上場審査基準と呼ばれるガイドラインが存在します。

例えば、東証に上場する際には東京証券取引所の上場審査部がこのガイドラインに沿って審査を行います。例えば、市場1部であれば株主数が2,200人以上いるかどうか、2部であれば800人以上いるかどうかから始まり、その他、発行済み株式数などの株式などの情報や足元の業績データ、将来の利益予想、従業員構成など多岐にわたって審査されます。

具体的には以下のプロセスに従って進みます。

    • 質問事項の提示
    • 回答書作成
    • ヒアリング実施
    • 追加ヒアリング
    • 事業所実査
    • 経営者面談
    • 監査役面談
    • 会計士面談
    • 合否判断

こうした審査自体は数か月で終わるものがほとんどですが、その準備は最終審査の数年前から行われます。

上場のメリット

数年にわたる上場準備と審査期間を経て上場するメリットは何なのでしょうか。

資金調達

市場から直接資金を調達できるようになるので資金調達が用意になります。

それまでは特定の投資家からのごく限られた投資や一部の金融機関からの借入がメインでしたが、上場すると市場の多くの投資家から新たに株を発行したり、保有していた自己株式を市場で売却するなどして調達することが可能になります。

当然、銀行からの借り入れも安定感を評価され、借入金利も少なく済みますのでこうした意味でも資金調達コストを抑えることができます。

知名度向上

これだけの審査を経て証券会社、取引所ともに業績に一定の安定感を証明されるので、上場という泊をつけることができます。

日本では毎年数万以上の企業が誕生しては消えていくということを繰り返す中で、審査プロセスを経て認められた約4,000社の上場企業はそれなりの知名度を得ることになります。

知名度を得ると取引が用意になったり、会社間の交渉ごとを有利に進めることもできます。

社長などにもたらされる上場益

ベンチャー企業などを起業した社長はその企業の株式を多く保有しており、こうした株式は上場時に高値で売ることができます。

新規上場するまでに投資してくれたベンチャーキャピタルなどの投資家も投資する対価として株式を与えられたり、場合によっては従業員に対しても株式を発行されたりしているので、こうした関係者(ステークホルダー)も上場時に大きな利益を得ることができます。

上場のデメリット

常に利益を出し続けなければならない

株式会社は常に利益を出し続けて投資家に還元し続けなければなりません。

いろいろな考え方がありますが、投資した株価に対する対価としては、その企業が作り出す利益を将来にわたって株主に還元され続けなければならないという名目があります。

当然、利益がでなければ株式は買い手不在になり、株価は下落します。極端なケースでは上場廃止になることもあり、これは株式市場から退場を命じられることになります。

買収リスク

株式会社は株式を保有している人がその会社のオーナーとなります。

オーナーはその会社の経営対して発言する権利を有しているので、例えば市場で特定の銘柄の株式を買い集めた場合、買い付けた投資家は会社の経営方針に対してNGを出したり、経営陣の交代を指示したりします。

こうした株主をモノ言う投資家と呼ばれたりします。

金融商品取引法によれば短期間で一定の数の株式を保有するには公開しなければならないというルールがあります(株式公開買付)ので、秘密裏に経営権を奪われたりすることはありませんが、時に激しい株の争奪戦になることもあります。

経営管理コスト

上場による業績報告

上場すると年に一度、株主総会を開催して会社の所有者である株主に経営方針を納得してもらう必要があります。その他、年に四回の業績報告と年に一回の決算報告もしなくてはなりません。

上場企業ほどの規模になると会社の業績を管理するのは一筋縄ではいきませんので、そのための人を雇用して報告体制を整備し、内部監査の部署を設け、外部監査として監査法人と契約して厳密な業績報告をしなくてはなりません。

また会社によっては業績に連動して配当を出したりするなど、経営管理コストが大幅に必要になります。

株主還元策

これは会社にとってはコストになりますが、投資家にとってはメリットとなります。

株式が取引所に上場しても投資してくれる投資家がいなければ株価がつきませんし、当然誰も買わなければ会社の価値、すなわち株価はゼロです。

投資家としては何かしらの対価を求めて株式を買うので投資家へのリターンがなければその株式には値がつきません。

したがって、株式を買ってくれた投資家に対する上場企業の責務としては何かしらの形で投資家に利益を還元しなければなりません。

例えば、利益が出たら株主に配当を出すというのはその一例です。

他にも常に利益を出し続けて会社の価値を上げ、それに伴い株価を上昇させることで株式を購入してくれた投資家が売却した時に利益を出しやすいようにするというのも一つです。

その他にも株主優待でモノやサービスを提供するといった手段もあります。

こうした一連の施策を株主還元策と呼び、上場企業にとっては責務の一つではあるものの、コストが増えるのは言うまでもありません。

上場イコール安心ではない

取引所などの審査基準を通過することで上場した企業に対して安全であると解釈することもできますが、一方で上場企業でも倒産したり経営が傾いたりする企業があるのも事実です。

日本の電機産業のシャープや東芝、ソニーなどは一時は就活生などからも人気の大企業でしたが、今や日本の斜陽産業と言われる分野となってしまいました。

株式市場に上場している全ての銘柄が安全な優良企業かと言われるとそうではありません。

投資家は上場している銘柄だから安心と捉えるのではなく、取引する際は業績や利益の変動を企業IRなどで確認し、市場での価格変動を見ながら、利益を確実に取れるようにしていきましょう。

まとめ

上場審査の方法や上場のメリット、デメリットを投資家の観点から説明しました。

投資家としては上場審査があるから安心するのではなく、投資する企業の業績報告をチェックし、また投資した後もその企業のオーナーとして経営を監視しなくてはなりません。

年に一度の株主総会では出席する株主はごく少数ですが、出席した場合はそうしたオーナーとしての意見が求められますし、株主を軽視した企業の事業運営に対しては遠慮なくNOを突きつけなければなりません。

上場企業だから安心というわけではなく、取引する際は業績を確認して様々な媒体で情報分析をして、これだ!と思う銘柄を選ぶようにしてください。

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パウエル五郎

名前:パウエル五郎 年齢:30代 経歴:サラリーマン時代は赤い銀行で国内外の株式のアナリストやファンドマネージャーなど一貫して株式のトレーディングに携わる。 現在は日本株の個人投資家として独立。2016年にアマゾンを購入してからひたすら買い増し、現在はVTなど世界分散投資も実践。

コメント

  1. […] IPOとは、新規上場、もしくは株式公開と呼ばれるのですが、 つまり株式市場でその銘柄が初めて売買されることを言います。 上場についてはこちらのページで説明しましたが、株式市場でその銘柄が売買できるようになることです。 また、その銘柄のことをIPO銘柄と呼ぶこともあります。 […]