株式取引をする以上、利益を出さなくてはなりません。
実は利益を出している投資家に共通する一つのルールがあります。
それはボックス圏で売買しないということです。
もっと正確に言うと比較的長い期間ボックス圏で推移している時、その価格レンジ内で売買してはならないというルールです。
そもそもボックス圏とはなんぞやという人もいると思いますのでもう少し丁寧に解説していきましょう。
ボックス圏とは
一定期間、一定のレンジ(範囲)で推移している時、このレンジのことをボックス圏と呼びます。
この一定という表現に具体的な数字が指定されているわけではありません。
銘柄や経済環境、投資家心理によっても変わります。
ただ、状況によって異なるボックス圏のレンジは株価を見ればわかるので
投資家が細かい条件などを考える必要はありません。
通常、ボックス圏で推移している時はその価格レンジの上限と下限の間で上下動を繰り返しています。
市場が大きく変動している場合にはこのボックス圏内での振れ幅も大きくなります。
例えば、以下のような状態を指します。
株価がボックス圏とはどういう状態か
株価がボックス圏で推移するとはどういう状態なのでしょうか。
様々な理由が考えられますが、一つは何かニュースやその銘柄の動意(株価に影響を及ぼす材料が提供されて投資家が売買をする意思)を得た時に、将来の収益改善や悪化などに対応して投資家が売買を行います。
資金の大小や、株価材料に応じて予想する株価は投資家によってそれぞれ異なります。
そのため、株価が上昇した時に、上昇後の株価が高いと思う投資家は売却しますし、
それでもまだ上昇する、安い水準だと思う投資家は引き続き購入します。
こうして投資家の思惑がそれぞれ異なることにより、動意材料で株価が動いた後でも、買う人と売る人に分かれます。
すると、ある値段を境に投資家によって買いすぎと売りすぎという状態が存在し、
この値段を中心に上げ下げを繰り返します(オーバーシュートという状態)
この繰り返しをボックス圏での推移と呼びます。
またこうした相場付きをレンジ相場と呼ぶこともあります。
もう少し話を進めてみましょう。
ボックス圏で推移している銘柄はこのあとどのようになるか予想してみましょう。
ボックス圏で推移しているということは株価のレンジ予想がつきやすい状態と言えます。
予想がつきやすいということは当然利益も出しやすいと考える投資家も多くなります。
簡単な例で説明しましょう。
例えば、ある銘柄がボックス圏で推移しているなーと思ったら、まずボックス圏のレンジの下限に達した時に買います。
下限に達した後に上昇が始まるので、上限に達する前に売却をすればいいことになります。
売買手数料に対してこの売却益が大きな銘柄、もっというと手数料に対して株価が大きな銘柄であればこうした売買をする投資家が多くなります。
予想通りの動きをすれば利益が取れるという状況では、当然多くの投資家が見逃しません。
したがって、こうしたレンジでは上限で売り指値、下限で買い指値注文入っていたりします。
…
…
当分は。
笑
ここで当分は、と書いたのは、一定期間経過したレンジ相場は長く続きません。
先ほど、下限で買い指値、上限で売り指値が入ると書きました。
こうした予想可能な相場付でこうした売買が入るとどうなるでしょうか。
こうした売買が多くなると、下限での買いが膨らみ、当然売却しようとしている投資家の注文は少なくなるとともに買いの量が相対的に多くなるので、下限の値そのものが上昇します。
逆もしかりで上限での売りが膨らむと相対的に買いの量が相対的に多くなるので、上限の値そのものが低下します。
すると、どうなるか。
時間の経過とともに、このボックス圏のレンジそのものが小さくなっていきます。
こうした場所では時間の経過とともにボックス圏の中心値から注文を消化していくため、振れ幅がどんどん短くなっていきます。
加えて中心値から離れている値段で注文を出している投資家がしびれを切らして値段を中心付近に寄せてきます。
例えば、売り注文を出していたら損失覚悟で高い値段の売り注文から安い値段の売り注文に変更してきます。
すると、下限だと思って購入した投資家の中には、それ以上株価が上昇せずに利益確定のタイミングを逃してしまう人も出てきます。
一旦ここまで整理します。
ボックス圏で推移すると、
・推移するレンジが小さくなっていく
・そのレンジ付近で購入した投資家が多くなる(ポジションが大きくなる)
この二つの事実は、そのレンジから少しでも外れると株価が大きく変動することを示しています。
株価が大きく変動すると言っても、売りと買いの注文数のバランスによって変化する方向は異なります(買いの方が強ければ急激に上昇する可能性があるし、売りの方が強ければ急落します)。
例えばレンジが小さくなった結果、高値づかみしてしまった投資家は利益確定できず、損切り覚悟の売却を行います。
こうはなりたくないと思った方もいるかもしれませんが、
早い段階で損切りできる投資家はその他大勢のポジションを持っている投資家の中では賢明な方です。
時間の経過とともにこうした投資家は多くなり、価格がレンジから外れて低下していくのでさらに損切りをする投資家が増えるという、まさに売りが売りを呼ぶ一方的な展開となります。
この売りはボックス圏での価格レンジでポジションを保有(購入)した投資家が全て閉じる(売り切る)まで続きます。
今回は下落する場合について説明しましたが、上昇と下落は基本的に同じで、ボックス圏で上限付近で空売りをして下限付近で買い戻すという投資家が多ければ、レンジから上方向に外れることもあります。
つまり、ボックス圏での推移が続くと、いずれどこかのタイミングで一方向的に動くことになります。
冒頭に表示したグラフであれば以下のようになることが多いです。
こうした傾向はボックス圏で徐々にレンジの幅が狭くなるのは特に売買手数料に対して株価が大きな銘柄ほど強くなります。
また現物株以外にも先物取引は(空売りが簡単で、強制ロスカット制度があり、売買手数料が安いという)この典型的な例です。
ボックス圏での推移になったらやるべきこと
こうした事実を認識した上で投資家としてはどのように対応すればよいのでしょうか。
一つはボックス圏内での売買は避けたほうが良いということです。
もっと正確に言うと、何度か上下動をしている比較的長いボックス圏内で売買をしてはなりません。
これは時間が経過するとともにレンジ相場が崩れる可能性が高くなるということ、崩れた時にどちらに転ぶかは相場環境や投資家の需給状況によって異なるため予想がつきにくいということからも明らかです。
これがタイトルに書いたボックス圏では売買しないということです。
もう一つは少し上級者向けですが、レンジ相場から外れた時に一方向的に株価が動くことを利用します。
株価が一方向的に動くのであればその力を使わない手はありません。
この力はボックス圏での推移が長くなればなるほど、そのレンジ内でポジションを構築した投資家が多いほど強くなります。
自動的にも、人為的にもロスカットを実施している人が多いので、そのレンジから外れれば外れるほどレンジから離れようとする力が多くなるからです。
こうした力を遠心力と言っていますが、レンジ内でのエネルギーが大きくなるほど、上下動という振動を繰り返すほど遠心力も強くなります。
こうした遠心力を利用するには、条件付きの成り行き注文や逆指値が入れることが有効です。
「逆指値については今更聞けない逆指値」をご覧ください。
つまり、レンジの上限や下限よりちょっと外れたところにトリガー価格を設定し、同時に成行注文を入れます。
もちろん、指値注文でも構いませんが確実に仕込みたい場合は成行注文がオススメです。
さらに高等テクニックとして、同時に自動予約で返済注文のを入れます。
こうすることで皆さんが板を見ていない時にレンジから外れても自動で利益確定まで行ってくれます。
利益確定ができなかった場合に備えて追跡注文という方法もありますので、ついでに抑えておきましょう。
まとめ
デイトレーダーであればボックス圏での売買は基本的にお勧めしません。
ボックス圏で売買するなら中長期で見て、本当にその銘柄が安い水準にあると思った場合にのみ、投資を検討しましょう。
ある程度短期間で利益を出そうとするなら、ボックス圏ではなく、そのレンジから外れたところにトリガー値段を設定した逆指値注文で狙いましょう。
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パウエル五郎

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